クレジットカード・決済Cards & Payments
日本の顔ぶれ
- クレディセゾンペイメント・リース・ファイナンス・不動産関連・グローバル・エンタテインメントの6事業。2026年3月期の売上収益は4,727億70百万円。カードを発行して与信を負う会社だが、事業利益の中心は信用保証(ファイナンス事業)と不動産関連にある。アメリカではアメリカン・エキスプレスビザマスターカード
- イオンフィナンシャルサービス国内リテール・国内ソリューション・中華圏・メコン圏・マレー圏の5事業。2026年2月期の営業収益は5,693億70百万円。イオン銀行を抱える金融グループで、親会社のイオン株式会社が議決権の49.99%を持つ。利益の69.1%が海外から出ている。アメリカではアメリカン・エキスプレスビザマスターカード
アメリカの対応企業
アメリカン・エキスプレスAXP
American Express Company
カードを発行し、加盟店も自ら開拓し、網も自ら持つ。売上高722億29百万ドル。銀行持株会社のため損益計算書に営業利益の行が無い。4部門の税引前利益率は12.3%から51.1%まで開く。
- 売上高11.6兆円
- 純利益1.7兆円
- 時価総額35.1兆円
- 株価324.19USD
- 掲載企業内シェア49.8%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- クレディセゾン
- イオンフィナンシャルサービス
ビザV
Visa Inc.
カードの網を運営する会社で、カードを発行せず与信も負わない。売上高400億ドル・売上高営業利益率60.0%。報告セグメントは1つ。Visaブランドの取引は年3,290億件、決済と現金の取扱高は17兆ドル。
- 売上高6.4兆円
- 純利益3.2兆円
- 時価総額111.7兆円
- 株価372.67USD
- 掲載企業内シェア27.6%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- クレディセゾン
- イオンフィナンシャルサービス
マスターカードMA
Mastercard Incorporated
ビザと同じく網の会社。売上高327億91百万ドル・売上高営業利益率57.6%。収益は決済ネットワーク59.4%と付加価値サービス40.6%。主な区分の取扱高は10兆6,320億ドル、カードは33億9,100万枚。
- 売上高5.3兆円
- 純利益2.4兆円
- 時価総額81.6兆円
- 株価581.10USD
- 掲載企業内シェア22.6%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- クレディセゾン
- イオンフィナンシャルサービス
カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。
日米の構造の違い
「カードの会社」は、2つの商売に分かれている
この業界を読むときにいちばん大事なのは、次の区別です。
- カードの網を運営する会社 — ビザ、マスターカード。カードを1枚も発行せず、代金の立て替えも貸し倒れの負担も負いません。 発行するのは金融機関です
- カードを発行して与信を負う会社 — クレディセゾン、イオンフィナンシャルサービス。カード会員への債権を自ら抱えます
- 両方を持つ会社 — アメリカン・エキスプレス。カードを発行する事業・加盟店を開拓する事業・網の事業の3つを自社で持ち、会社はこれを「end-to-end integrated payments platform(端から端まで一体の決済基盤)」と呼びます
財務の姿にそのまま表れます。 アメリカン・エキスプレスの自己資本比率は11.2%、イオンフィナンシャルサービスは5.7%です。カード会員への債権と貸出金を自ら抱えているためです。ビザは38.1%です。
日本にカードの「網」を持つ上場企業はない
ビザとマスターカードに当たる日本の上場企業はありません。JCBは非上場です。
そのため、この業界ページには◎(正面から競合)が1件もありません。確認を厳しくしたからではなく、日本側にその商売をしている上場企業が無いためです。
アメリカン・エキスプレスだけが○になります。カードを発行して与信を負うという点で、日本側2社と重なるからです。
網の会社は、顧客に払う金額が桁違いに大きい
ビザとマスターカードの収益には、共通する特徴があります。カードを発行してもらうために金融機関へ支払う金額が、非常に大きいことです。
- ビザ — 4つの収益区分の合計557億51百万ドルから、クライアントインセンティブ157億51百万ドルを差し引いて売上高400億ドル
- マスターカード — 決済ネットワークの収益194億76百万ドルは、顧客へのリベートとインセンティブ205億22百万ドルを差し引いた後の金額。差し引く額のほうが、差し引いた後の収益より大きい
日本側の2社にこの項目はありません。 自らカードを発行しているためです。
日本の2社は「カードの外」で稼いでいる
社名や事業の名前からは見えにくいところです。
- クレディセゾン — ペイメント事業(クレジットカード)は純収益の58.3%を占めますが、事業利益率は11.0%。利益がいちばん大きいのはファイナンス事業(信用保証など)で57.2%、次が不動産関連事業の61.5%です
- イオンフィナンシャルサービス — 国内リテール(イオン銀行など)は営業収益の41.5%で最大ですが、セグメント利益率は2.2%で最下位。利益の69.1%は海外3部門(中華圏・メコン圏・マレー圏)から出ています
アメリカン・エキスプレスにも似た形があります。 4部門のうち加盟店・ネットワークサービスの税引前利益率は51.1%で、売上高77億59百万ドルという最小の部門が、売上高が2倍以上ある法人向けサービスより大きな利益を出しています。
日本の数字は、米国3社のどこにも出てこない
日本の読者がいちばん知りたい「日本でどれだけ売れているか」は、3社とも開示していません。
- ビザ — 地域は「米国」と「米国以外」の2つだけ
- マスターカード — 「南北アメリカ」と「アジア太平洋・欧州・中東・アフリカ」の2つだけ。米国単独の金額もありません
- アメリカン・エキスプレス — 「米国・EMEA・APAC・中南米カナダカリブ」の4つ。日本はAPACに入ります
ただしアメリカン・エキスプレスの10-Kには、日本が名指しで出てきます。 「当社のカード決済額のうち大きな部分を占める国・地域には、米国、英国、欧州連合、オーストラリア、日本、カナダ、メキシコが含まれる」という記載です。金額はありません。
逆に、アジアの内訳を示しているのは日本側です。 イオンフィナンシャルサービスは中華圏・メコン圏・マレー圏の3部門を分け、タイとマレーシアの中核子会社については単体の損益まで開示しています。
見通しの示し方が3社3様
- ビザ — SECの提出書類に通期の見通しがありません。決算発表資料に「guidance」「full-year」という語が1度も出てきません
- マスターカード — 同じくありません。「outlook」「full-year」も出てきません
- アメリカン・エキスプレス — 決算発表資料で通期の売上高の伸び率(約10%)と1株当たり利益(17.30〜17.90ドル)を公表します。2026年7月24日に売上高の伸び率を引き上げました
日本側の2社は、日本の制度にもとづき決算短信で通期の業績予想を公表します。 クレディセゾンは純収益5,075億円・事業利益1,100億円・親会社の所有者に帰属する当期利益755億円、イオンフィナンシャルサービスは営業収益6,000億円・営業利益450億円・親会社株主に帰属する当期純利益150億円です。イオンフィナンシャルサービスは増収ながら減益の予想で、直近の第1四半期が営業利益34.5%増だったのに対し、通期の予想は据え置かれています。
規模の差が大きい
- アメリカン・エキスプレス — 722億29百万ドル(約11兆5,731億円)
- ビザ — 400億ドル(約6兆4,091億円)
- マスターカード — 327億91百万ドル(約5兆2,540億円)
- イオンフィナンシャルサービス — 5,693億70百万円
- クレディセゾン — 4,727億70百万円
アメリカン・エキスプレスはクレディセゾンの24.5倍です。表の売上高は同じ物差し(円換算・同じレート)で並べています。
ただし売上高の中身が違います。 アメリカン・エキスプレスの売上高は「利息費用控除後の総収益」で、カード会員から得る利息が含まれます。ビザとマスターカードの売上高は、金融機関へ支払うインセンティブを差し引いた後の手数料です。
よくある質問
ビザやマスターカードは、カードを発行していないのですか?
発行していません。★★★この2社が持っているのは「網」だけです。カードを発行するのも、代金を立て替えるのも、貸し倒れの負担を負うのも金融機関の側です。★ビザは「four-party(4当事者)モデル」と呼び、約14,500の金融機関が同社のカードを発行していると10-Kに記載しています。★★財務の姿にそのまま表れます。ビザの総資産は996億27百万ドル、マスターカードは541億57百万ドルですが、アメリカン・エキスプレスは3,000億52百万ドルです。カード会員への債権を自ら抱えているかどうかの差です。★★★日本のクレディセゾンとイオンフィナンシャルサービスは、どちらもカードを発行して与信を負う側にあたります。
日本にビザやマスターカードに当たる会社はありますか?
上場企業にはありません。JCBは非上場です。★★★そのため、この業界ページには◎(正面から競合)が1件もありません。確認を厳しくしたからではなく、日本側にその商売をしている上場企業が無いためです。★★アメリカン・エキスプレスだけが○になります。カードを発行して与信を自ら負うという点で、日本側2社と重なるからです。★ただしアメリカン・エキスプレスは、加盟店の開拓と網の運営まで自社で行います。日本側2社は網を持ちません。
クレディセゾンはカードで利益を出していないのですか?
カードの利益がいちばん大きいわけではありません。★ペイメント事業(クレジットカード)の純収益2,772億29百万円は6部門の58.3%を占めますが、事業利益は306億25百万円で利益率11.0%にとどまります(比率は当サイトの計算)。★★★利益がいちばん大きいのはファイナンス事業(信用保証など)で、事業利益473億6百万円・利益率57.2%です。純収益では17.5%しかない部門が、利益では46.4%を占めます。★★不動産関連事業の利益率61.5%はさらに高いです。★同社の事業利益は5期とも増えています(523億36百万→1,019億99百万円)が、税引前利益は2024年3月期の979億52百万円が最大で、直近は899億80百万円です。
イオンフィナンシャルサービスはなぜ海外が中心なのですか?
当サイトは理由を書きません。会社が数値で分解していないためです。★事実として、海外3部門(中華圏・メコン圏・マレー圏)を合わせると、営業収益2,404億39百万円(連結の42.2%)に対しセグメント利益は418億66百万円(5部門合計の69.1%)になります(当サイトの計算)。★★★国内リテール(イオン銀行など)は営業収益の41.5%を占めながら、利益では8.5%です。★海外の中核3社はいずれも現地の証券取引所に上場しています。タイのAEON THANA SINSAP(当期純利益141億31百万円)、マレーシアのAEON CREDIT SERVICE (M) BERHAD(同169億29百万円)、香港のAEON CREDIT SERVICE (ASIA)です。★★この2社の当期純利益は、連結の親会社株主に帰属する当期純利益210億92百万円と比べても大きい金額です。
日本市場で強いのはどこですか?
当サイトは数字で示していません。米国3社とも日本単独の金額を開示していないためです。★ビザは地域を「米国」と「米国以外」の2つ、マスターカードは「南北アメリカ」と「アジア太平洋・欧州・中東・アフリカ」の2つでしか示しません。★アメリカン・エキスプレスは4つの地域を示しますが、日本は「APAC」に含まれます。★★★ただしアメリカン・エキスプレスの10-Kには、日本が名指しで出てきます。「当社のカード決済額のうち大きな部分を占める国・地域には、米国、英国、欧州連合、オーストラリア、日本、カナダ、メキシコが含まれる」という記載です。★★逆に、アジアの内訳を示しているのは日本側です。イオンフィナンシャルサービスは中華圏・メコン圏・マレー圏の3部門を分けています。
売上高をそのまま比べてよいのですか?
中身が違うので注意が要ります。★アメリカン・エキスプレスの売上高は「利息費用控除後の総収益」で、カード会員から得る利息が含まれます。★ビザとマスターカードの売上高は、金融機関へ支払うインセンティブを差し引いた後の手数料です。ビザは4区分の合計557億51百万ドルから157億51百万ドルを差し引いて400億ドル、マスターカードは決済ネットワークの収益から205億22百万ドルを差し引いています。★クレディセゾンは「純収益」、イオンフィナンシャルサービスは「営業収益」という別の呼び方をします。★★当サイトは各社が売上高として示す数値を、同じレートで円に直して並べています。★★★利益率を比べるときは、この違いを頭に置く必要があります。ビザの60.0%とクレディセゾンの21.6%は、同じ土俵の数字ではありません。
通期の見通しはどこが公表していますか?
アメリカン・エキスプレスだけです。★同社は決算発表資料で、通期の売上高の伸び率(約10%)と1株当たり利益(17.30〜17.90ドル)を公表しています。2026年7月24日に売上高の伸び率を引き上げました。★★★ビザとマスターカードは、SECの提出書類に通期の見通しを書きません。当サイトが読んだ両社の決算発表資料には、「guidance」「outlook」「full-year」という語が1度も出てきませんでした。★★日本側の2社は、日本の制度にもとづき決算短信で通期の業績予想を公表します。★クレディセゾンは純収益5,075億円(7.3%増)・事業利益1,100億円(7.8%増)・親会社の所有者に帰属する当期利益755億円(22.3%増)、★イオンフィナンシャルサービスは営業収益6,000億円(5.4%増)・営業利益450億円(25.8%減)・親会社株主に帰属する当期純利益150億円(28.9%減)です。★★★イオンフィナンシャルサービスだけが増収減益の予想です。
数値はいつ時点のものですか?
決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)によります。決算期は会社ごとに異なり、ビザは9月末、マスターカードとアメリカン・エキスプレスは12月末、クレディセゾンは3月末、イオンフィナンシャルサービスは2月末です。★米国3社の直近の四半期は、いずれも2026年4〜6月期です。★日本側2社の直近の四半期は、クレディセゾンが2026年4〜6月期(2026年8月12日公表)、イオンフィナンシャルサービスが2026年3〜5月期(2026年7月9日公表)です。決算期が違うため、対象の月がずれます。株価と時価総額はページ下部の更新日時点の値です。
注記(2件)
- アメリカの対応企業
- 日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。
- 規模の比較
- 米ドルはページ下部のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
出典
売上高・純利益は各社の直近の通年決算(米国企業 FY2025/日本企業 2026年2月期・2026年3月期)によります。出典は米国SEC(証券取引委員会)の年次報告書(10-K)、金融庁EDINETの有価証券報告書、株価はYahoo Finance。円換算は1米ドル = 160.34円。
投資判断は自己責任で行ってください。
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数値は更新時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。
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