航空の米国株 — 日本企業から見る対応表

日米5社の直近の四半期は、5社とも増収減益でした。売上高は11%〜23%増えているのに、営業利益はいずれも減っています。各社とも燃油費に触れています。

一方で、会社の形はかなり違います。日本航空はLCCとマイル事業を部門として分け、デルタ航空は石油精製所を持ち、ユナイテッド航空とアメリカン航空は報告セグメントが単一です。アメリカン航空は5期とも株主資本がマイナスです。

このページでは、部門の分け方・国内線の比重・通期見通しの出し方という3つの軸で並べています。

この業界の日本の顔ぶれ

ANAホールディングス

航空事業(外部売上の89.7%)・商社事業・航空関連事業・旅行事業の4部門。LCCのPeach Aviationも貨物航空の日本貨物航空も航空事業の中に入る。日本が売上の68.5%。発行済株式総数には社債型種類株式4,000万株が含まれる。

売上の内訳(2026年3月期)
区分構成比
航空事業89.7%
商社事業5.2%
航空関連事業2.4%
旅行事業2.0%
報告セグメント以外(差額)0.8%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は連結の売上高に占める割合です。★最後の行は当サイトが連結の売上高から報告セグメントの合計を引いて求めたものです。会社が「その他」として開示している区分にあたり、有価証券報告書のXBRLには区分としてのタグが付いていません。

くわしくANAホールディングスの決算と中期経営戦略

アメリカではデルタ航空ユナイテッド航空アメリカン航空

日本航空

フルサービスキャリア事業(76.3%)・マイル/金融・コマース事業・LCC事業の3部門。LCCとマイルを部門として分けているのは日本の航空2社でこの会社だけ。海外が売上の50.6%で、部門の利益はEBIT(財務・法人所得税前利益)。

売上の内訳(2026年3月期)
区分構成比
フルサービスキャリア事業76.3%
報告セグメント以外(差額)11.3%
マイル/金融・コマース事業7.4%
LCC事業5.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は連結の売上高に占める割合です。★最後の行は当サイトが連結の売上高から報告セグメントの合計を引いて求めたものです。会社が「その他」として開示している区分にあたり、有価証券報告書のXBRLには区分としてのタグが付いていません。

くわしく日本航空の決算と経営ビジョン

アメリカではデルタ航空ユナイテッド航空アメリカン航空

アメリカの対応企業

デルタ航空DAL

Delta Air Lines, Inc.

航空(Airline)と石油精製所(Refinery)の2部門。航空会社が製油所を持つのは掲載5社でデルタ航空だけ。国内が売上の70.5%。売上高63.4十億ドルで5社中最大。株主資本比率25.6%で、2021年12月期の5.4%から回復した。

  • 売上高10.1兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア35.8%
  • 時価総額8.6兆円
対応する日本企業
  • ANAホールディングス
  • 日本航空

ユナイテッド航空UAL

United Airlines Holdings, Inc.

報告セグメントは単一。開示される内訳は地域別4区分だけで、国内(米国・カナダ)59.3%は米国3社で最も低く、太平洋11.6%は最も高い。売上高59.1十億ドル。5期とも無配。

  • 売上高9.4兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア33.4%
  • 時価総額5.8兆円
対応する日本企業
  • ANAホールディングス
  • 日本航空

アメリカン航空AAL

American Airlines Group Inc.

報告セグメントは単一で、地域別も旅客収入だけの内訳。国内が旅客収入の70.9%。売上高54.6十億ドル。5期とも株主資本がマイナスで、営業利益は2023年12月期から2期続けて減っている。5期とも無配。

  • 売上高8.7兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア30.9%
  • 時価総額1.5兆円
対応する日本企業
  • ANAホールディングス
  • 日本航空

カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。

規模の比較

日米の掲載企業の売上高の比較(円換算)デルタ航空FY2025 · 米国基準10.1兆円ユナイテッド航空FY2025 · 米国基準9.4兆円アメリカン航空FY2025 · 米国基準8.7兆円ANAホールディングス2026年3月期 · 日本基準2.5兆円日本航空2026年3月期 · IFRS2.0兆円

日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。

日米の構造の違い

5社とも直近の四半期が増収減益

日米5社の直近の四半期は、売上高がいずれも2桁増えているのに、営業利益はいずれも減っています。

いずれも当サイトの計算です(会社が示した増減率がある場合はそれと一致します)。

各社とも燃油費に触れています。デルタ航空は「四半期として過去最高の燃油費を吸収した」、ユナイテッド航空は「燃油費が約60億ドル増える中でも」、アメリカン航空は「燃油費が最近上昇したことを踏まえ」と記載しています。ただし各社とも金額での要因分解は公表していないため、当サイトは「燃油費で何円減った」とは書きません。

日本の2社は通期の見通しも減益です。ANAホールディングスは営業利益31.0%減、日本航空はEBIT 17.4%減を見込んでいます。

部門の分け方が5社でばらばら

★★★LCCを部門として分けているのは日本航空だけです。ANAホールディングスはPeach Aviationを航空事業の中に入れており、LCCだけの売上・利益は読み取れません。

★★★マイル事業を部門として分けているのも日本航空だけです。マイル/金融・コマース事業の利益率20.5%は、フルサービスキャリア事業の9.1%の2倍以上です(当サイトの計算)。

★★★航空会社が製油所を持つのはデルタ航空だけです。石油精製所部門の売上高69億61百万ドルのうち18億84百万ドルは部門間で、うち11億50百万ドルが航空部門への販売です。

国内線の比重が会社で違う

★★日本航空だけが海外の比重が半分を超えます。ユナイテッド航空が米国3社の中でもっとも国際線に寄っており、アメリカン航空がもっとも国内線に寄った形です。

アメリカン航空の地域別は旅客収入だけの内訳で、連結の売上高ではなく旅客収入496億43百万ドルが分母です。デルタ航空とユナイテッド航空は売上高全体を分けているので、3社の割合をそのまま並べることはできません。

通期の見通しの出し方が日米で正反対

★★★米国3社はいずれもGAAPの金額を1つも示していません。そのため3社とも個票に「今期の見通し」の節がありません。

財務の強さが5社で大きく違う

株主資本比率(日本は自己資本比率)は次のとおりです。

★★★アメリカン航空は5期とも株主資本がマイナスです(△73億40百万ドル→△37億27百万ドル)。分母が負のときのROEと株主資本比率は意味を持たないため、当サイトは同社の推移の図にこれらを描いていません。

配当も分かれます。日本航空96円・ANAホールディングス65円・デルタ航空0.675ドルに対し、ユナイテッド航空とアメリカン航空は5期とも無配です。

規模の差

売上高(直近の通期・米ドルは基準日のレートで円に直したもの)は次のとおりです。

デルタ航空の売上高はANAホールディングスの約4.0倍、日本航空の約5.0倍です。

表では円換算・同一基準日で並べているので、5社を通して比べられます。

よくある質問

ANAホールディングスのアメリカ版はどこですか?

デルタ航空です。★★自国で最大の航空会社どうしで、航空以外の部門を1つ持つ点も重なります(ANAホールディングスは商社・航空関連・旅行、デルタ航空は石油精製所)。国内線の比重も近く、ANAホールディングスは日本が68.5%、デルタ航空は国内が70.5%です。★規模はデルタ航空(約10兆756億円)がANAホールディングス(2兆5,392億円)の約4.0倍です。★ユナイテッド航空(約3.7倍)とアメリカン航空(約3.4倍)はどちらも報告セグメントが単一で、部門の内訳を比べられません。

日本航空に対応する米国企業はどこですか?

★★★正面から重なる会社はありません。日本航空はLCCとマイル事業を部門として分けており、米国3社のいずれもそうしていないためです。★★海外の比重も日本航空は50.6%で、米国3社(デルタ航空29.5%・ユナイテッド航空40.7%・アメリカン航空は旅客収入の29.1%)より大きい形です。★国際線の比重ではユナイテッド航空が近いです。規模はユナイテッド航空(約9兆3,928億円)が日本航空(2兆125億円)の約4.7倍。★デルタ航空は約5.0倍、アメリカン航空は約4.3倍です。

なぜ米国3社の個票に「今期の見通し」の節がないのですか?

★★★3社ともGAAPの金額を1つも示していないためです。示しているのは調整後(非GAAP)の1株当たり利益で、デルタ航空6.50〜7.50ドル、ユナイテッド航空9.00〜11.00ドル、アメリカン航空△0.65〜0.65ドルです。★デルタ航空はこれに加えてフリーキャッシュ・フロー30〜40億ドルとグロス・レバレッジ約2倍を示していますが、これらも非GAAPの指標です。★★日本の2社はGAAPの金額で通期予想を出しています。ANAホールディングスは売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の4つ、日本航空は売上収益・EBIT・当期利益の3つです。★当サイトが通期の数値を作ることはしません。

5社とも増収なのに減益なのはなぜですか?

★★各社とも燃油費に触れています。デルタ航空は「四半期として過去最高の燃油費を吸収した」、ユナイテッド航空は「燃油費が約60億ドル増える中でも通期の調整後1株当たり利益の見通しを引き上げた」、アメリカン航空は「燃油費が最近上昇したことを踏まえ」通期の見通しを示したと記載しています。★★★ただし各社とも金額での要因分解を公表していないため、当サイトは「燃油費で何円減った」とは書きません。★日本の2社は通期の見通しも減益です(ANAホールディングスは営業利益31.0%減、日本航空はEBIT 17.4%減)。

ANAホールディングスの時価総額はどう計算していますか?

★★★普通株式484,293,561株で計算しています。同社の発行済株式総数の合計524,293,561株には、第1回社債型種類株式40,000,000株が含まれています。★★社債型種類株式は普通株式と別の証券で、配当も別に決まっています(2027年3月期の予想は普通株式が年60円、社債型種類株式が年175円)。普通株式の株価に掛けてよい株数ではありません。★合計の524,293,561株を使うと時価総額が8.3%多く出ます(当サイトの計算)。★株式数は2027年3月期第1四半期決算短信の「期末発行済株式数(自己株式を含む)」から取り、`data/shares-overrides.json` に登録しています。

アメリカン航空の株主資本がマイナスなのはなぜですか?

★★★5期ともマイナスです(△73億40百万ドル→△57億99百万ドル→△52億2百万ドル→△39億77百万ドル→△37億27百万ドル)。マイナスの幅は5期で36億13百万ドル縮まっています(当サイトの計算)。★★分母が負のときのROEと株主資本比率は意味を持たないため、当サイトは同社の推移の図にこれらを描いていません。★★当サイトは理由を書きません。会社が要因を数値で分解していないためです。★他の4社の株主資本比率(自己資本比率)は、日本航空40.3%・ANAホールディングス37.7%・デルタ航空25.6%・ユナイテッド航空20.0%です。

5社の決算期はそろっていますか?

そろっていません。日本の2社(ANAホールディングス・日本航空)はいずれも3月末、米国3社(デルタ航空・ユナイテッド航空・アメリカン航空)はいずれも12月末です。★★そのため「直近の通期」が指す期間が違います。日本の2社は2026年3月期、米国3社は2025年12月期です。★★一方、直近の四半期はどれも2026年4〜6月期なので、こちらは同じ3か月で比べられます。

数値はいつ時点のものですか?

決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)と、そのあとに公表された決算短信・決算発表資料によります。日本の2社は2026年3月期、米国3社は2025年12月期です。直近の四半期はいずれも2026年4〜6月期です。株価と時価総額はページ上部に記載した基準日の値で、米ドルの円換算レートも同じ基準日のものです。

数値の基準日

売上高(米国企業)
各社の直近の通年決算(FY2025)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
売上高(日本企業)
各社の直近の通年決算(2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
株価・時価総額
2026-08-22 時点
為替
1米ドル = 158.86円(2026-08-22 時点)

投資判断は自己責任で行ってください。

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数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。