石油・ガスOil & Gas
日本の顔ぶれ
- ENEOSホールディングス石油製品ほか・石油天然ガス開発・機能材・電気・再生可能エネルギーの5事業。2026年3月期の売上高は11兆7,654億70百万円。石油製品ほかが売上の87.9%を占めるが、利益率は2.8%。売上の74.7%が日本。2025年3月にJX金属が上場し、金属事業は非継続事業になった。アメリカではエクソンモービルシェブロンコノコフィリップス
- 出光興産燃料油・基礎化学品・高機能材・電力再生可能エネルギー・資源の5事業。2026年3月期の売上高は8兆1,058億91百万円。燃料油が売上の83.8%で利益率2.6%、資源は売上2.5%で16.3%。2027年3月期の第1四半期からIFRSへ移行した。アメリカではエクソンモービルシェブロンコノコフィリップス
- INPEX国内O&Gと海外O&G(イクシスプロジェクト/その他のプロジェクト)。2025年12月期の売上収益は2兆113億51百万円。精製をしない上流だけの会社で、売上収益に対する当期利益は19.6%。税引前利益1兆1,734億円が当期利益3,938億円になる。アメリカではコノコフィリップスエクソンモービルシェブロン
アメリカの対応企業
エクソンモービルXOM
Exxon Mobil Corporation
上流・エネルギー製品・化学製品・特殊製品の4部門。連結の売上高3,322億38百万ドル・純利益288億44百万ドル。エネルギー製品が部門売上の75.5%を占めるが利益は22.9%で、上流は売上12.2%で利益65.8%。2026年7月に本店をテキサス州へ移した。
- 売上高52.8兆円
- 純利益4.6兆円
- 時価総額108.6兆円
- 株価164.81USD
- 掲載企業内シェア57.3%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ENEOSホールディングス
- 出光興産
- INPEX
シェブロンCVX
Chevron Corporation
上流・下流の2部門。連結の売上高1,890億31百万ドル・純利益122億99百万ドル。下流が売上の71.0%で利益19.1%、上流が売上29.0%で利益80.9%。2025年にヘス・コーポレーションを取得し、生産量が12%増えた。
- 売上高30.0兆円
- 純利益2.0兆円
- 時価総額66.8兆円
- 株価212.63USD
- 掲載企業内シェア32.6%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ENEOSホールディングス
- 出光興産
- INPEX
コノコフィリップスCOP
ConocoPhillips
精製をしない上流だけの会社で、部門は地域で5つ。売上高589億44百万ドル・純利益79億88百万ドル。売上高は3社で最小だが、売上に対する純利益の比率13.6%は3社で最も高い。米国が売上の79.1%。
- 売上高9.4兆円
- 純利益1.3兆円
- 時価総額26.2兆円
- 株価137.34USD
- 掲載企業内シェア10.2%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- INPEX
- ENEOSホールディングス
- 出光興産
カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。
日米の構造の違い
6社すべてで、売上と利益の並びが逆になる
この業界を読むときにいちばん大事なのは、この形です。
- エクソンモービル — エネルギー製品(燃料)が部門売上の75.5%を占めるのに、部門利益では22.9%。利益率3.0%。上流は売上12.2%・利益65.8%で、利益率54.2%
- シェブロン — 下流が売上の71.0%で利益19.1%、利益率2.3%。上流は売上29.0%・利益80.9%で、利益率24.0%
- ENEOSホールディングス — 石油製品ほかが売上の87.9%で、利益率2.8%。石油・天然ガス開発は売上1.8%で、利益率23.5%
- 出光興産 — 燃料油が売上の83.8%で、利益率2.6%。資源は売上2.5%で、利益率16.3%
精製して燃料を売る事業は、売上を大きくしますが利益率は2〜3%です。 原油と天然ガスを掘る事業は、売上が小さいのに利益率が16〜54%あります。
日米で規模はまったく違うのに、同じ形が出ます。 エクソンモービルの上流の外部売上は約6兆3,112億円、ENEOSホールディングスの石油・天然ガス開発は2,167億44百万円です。それでも利益率の並び方は同じです。
精製をしない会社が2社ある
コノコフィリップスとINPEXは、製油所を持ちません。 原油と天然ガスを掘って売るところまでが事業です。
そのため、この2社は売上がいちばん小さく、売上に対する利益の比率がいちばん高いという位置にいます。
- INPEX — 売上収益2兆113億51百万円に対し当期利益3,938億36百万円で19.6%
- コノコフィリップス — 売上高589億44百万ドルに対し純利益79億88百万ドルで13.6%
- エクソンモービル — 8.7%
- シェブロン — 6.5%
- ENEOSホールディングス — 2.2%
- 出光興産 — 2.1%
(いずれも当サイトの計算)
この業界ページで◎(正面から競合)が付くのは、INPEX↔コノコフィリップスの1件だけです。事業の形がそのまま重なります。
部門の切り方も、精製の有無で決まる
- 統合型の4社 — 事業の種類で分ける。エクソンモービルは上流・エネルギー製品・化学製品・特殊製品、シェブロンは上流・下流、ENEOSホールディングスは石油製品ほか・石油天然ガス開発・機能材・電気・再生可能エネルギー、出光興産は燃料油・基礎化学品・高機能材・電力再生可能エネルギー・資源
- 精製をしない2社 — 地域で分ける。コノコフィリップスはロウワー48・アラスカ・カナダ・欧州中東北アフリカ・アジア太平洋、INPEXは国内O&G・海外O&G(イクシス/その他)
分ける必要がある事業が1つしかないと、地域で切るしかありません。
「部門の利益」が指すものが、6社とも違う
同じ「部門の利益」でも、指しているものがそろいません。
- エクソンモービル — 税引後の部門利益
- シェブロン — 税引後の「当社に帰属する純利益」
- コノコフィリップス — 税引後の部門純利益
- INPEX — 親会社の所有者に帰属する当期利益(税引後)
- ENEOSホールディングス — 営業損益
- 出光興産 — 営業利益と持分法投資利益の合計
税引後で示す4社と、営業利益ベースで示す2社に分かれます。 INPEXの部門利益率が「イクシス85.9%・国内O&G 11.7%」と大きく開くのは、部門の利益が税引後だからです。同社は法人所得税を7,438億35百万円計上しており、「その他のプロジェクト」だけで7,029億92百万円(同部門の外部収益の47.3%)です。
損益計算書に営業利益の行が無い会社がある
米国3社は、いずれも損益計算書に営業利益の行を持ちません。 「売上高およびその他の営業収益」に持分法投資利益とその他の収益を足した「収益およびその他の収益の合計」から始まり、費用を引いて税引前利益へ進みます。
日本側3社は営業利益の行を持ちますが、「主要な経営指標等の推移」の表には3社とも営業利益の欄がありません(ENEOSホールディングスだけは載っています)。
そのため当サイトは、推移の図に描く利益を会社ごとに選んでいます。 米国3社は純利益、ENEOSホールディングスは営業利益、出光興産は当期純利益、INPEXは税引前利益です。
日本は日本向け、米国は世界向け
- ENEOSホールディングス — 売上の74.7%が日本(8兆7,892億95百万円)。シンガポール8.4%・中国4.7%
- INPEX — 国内O&Gを独立した部門として開示し、外部収益は連結の9.6%
- エクソンモービル — 4部門の合計のうち米国が42.5%、米国以外が57.5%
- シェブロン — 上流も下流も米国と海外がほぼ半々
- コノコフィリップス — 米国が79.1%
日本側3社のうち、日本の数字を独立して示しているのはENEOSホールディングスとINPEXだけです。出光興産は地域別の売上を開示していません。米国3社は、どこも日本単独の金額を出していません。
見通しの示し方が、日米で分かれる
米国3社は、通期の売上高や利益の見通しをSECの提出書類に書きません。 10-Kにも10-Qにも決算発表資料にも、金額の見通しはありません。
日本側3社は、日本の制度にもとづき決算短信で公表します。
- ENEOSホールディングス — 売上高12兆8,500億円・営業利益6,100億円・当期利益4,150億円。「在庫影響を除いた利益相当額」も併記
- INPEX — 売上収益1兆9,730億円・営業利益1兆2,230億円・当期利益5,100億円
- 出光興産 — 売上収益の予想は出さず、利益の項目だけ。当期利益750億円
「在庫影響」という言葉が2社に出てきます。 原油価格が動くと棚卸資産の評価を通じて利益が揺れるため、その影響を除いた数字を会社が併記しています。
規模の差が大きい
- エクソンモービル — 3,322億38百万ドル(約53兆2,338億円)
- シェブロン — 1,890億31百万ドル(約30兆2,881億円)
- ENEOSホールディングス — 11兆7,654億70百万円
- コノコフィリップス — 589億44百万ドル(約9兆4,445億円)
- 出光興産 — 8兆1,058億91百万円
- INPEX — 2兆113億51百万円
ENEOSホールディングスはコノコフィリップスより売上が大きいのに、当期利益はコノコフィリップスのほうが上です(79億88百万ドル対2,587億26百万円)。精製・販売の売上が大きいと、売上高は膨らむが利益は残りにくいという関係が、ここにも出ています。
よくある質問
掘る事業のほうが利益率が高いのはなぜですか?
当サイトは理由を書いていません。6社とも、増減や利益率の差を数値で分解していないためです。★事実として、部門利益率は次のようになります。エクソンモービルは上流54.2%・エネルギー製品3.0%、シェブロンは上流24.0%・下流2.3%、ENEOSホールディングスは石油・天然ガス開発23.5%・石油製品ほか2.8%、出光興産は資源16.3%・燃料油2.6%(いずれも当サイトの計算)。★★★日米で規模はまったく違うのに、同じ形が出ます。★★精製をしないコノコフィリップスとINPEXは、この形になりません。両社は売上に対する利益の比率が13.6%と19.6%で、統合型の4社(2.1%〜8.7%)より明らかに高い位置にいます。
日本の3社のアメリカ版はどこですか?
会社ごとに違います。★★★INPEXはコノコフィリップスと正面から重なります。どちらも精製をしない上流だけの会社で、この業界ページで◎が付く唯一の組み合わせです。★★ENEOSホールディングスと出光興産は、エクソンモービル・シェブロンと同じ統合型です。売上の大半が精製・販売で、利益率は掘るほうが高いという並びも同じです。★★★ただし規模が10倍から40倍違います。エクソンモービルの上流の外部売上は約6兆3,112億円で、ENEOSホールディングスの石油・天然ガス開発2,167億44百万円の29倍です。★同じくエクソンモービルの上流は、出光興産の資源2,035億円の31倍です。★★利益率の水準は近いです。ENEOSの石油製品ほかは2.8%、シェブロンの下流は2.3%、出光の燃料油は2.6%、エクソンモービルのエネルギー製品は3.0%。
売上高をそのまま比べてよいのですか?
中身が少し違うので注意が要ります。★米国3社の「売上高」は、「収益およびその他の収益の合計」で、持分法投資利益とその他の収益を含みます。エクソンモービルの3,322億38百万ドルのうち、売上高およびその他の営業収益は3,239億5百万ドルです。★シェブロンの1,890億31百万ドルのうち、売上高およびその他の営業収益は1,844億32百万ドルです。★日本側は、ENEOSホールディングスと出光興産が「売上高」、INPEXが「売上収益」という呼び方です。★★当サイトは各社が売上高として示す数値を、同じレートで円に直して並べています。★★★もう1つ、会計基準がそろいません。エクソンモービル・シェブロン・コノコフィリップスは米国会計基準、ENEOSホールディングスとINPEXはIFRS、出光興産は日本基準(ただし2027年3月期の第1四半期からIFRS)です。
2026年4〜6月期に各社が伸びたのはなぜですか?
エクソンモービルが市況で説明しています。★同社は四半期報告書に「第2四半期の市況は、中東の供給途絶と世界的な製油能力の減少に強く影響され続けた」「世界の製油マージンは、前例のない規模の製油能力の減少により、過去10年の幅を大きく上回った」「天然ガス価格は、供給途絶が続くなか過去10年の平均を上回る水準にとどまった」と記載しています。★原油価格については「過去10年(2010〜2019年)の幅の中にとどまった」としています。★★数字では、エクソンモービルが売上高42.3%増・純利益105.1%増、シェブロンが売上高56.3%増・純利益384.8%増、コノコフィリップスが売上高32.4%増・純利益99.4%増でした(いずれも当サイトの計算)。★★日本側でも、ENEOSホールディングスの営業利益が859.5%増、出光興産は前年同期の営業損失から黒字へ転じています。★★★精製を持たない2社の動きが小さいのが、この説明の裏づけになります。コノコフィリップスの伸びは3社でいちばん小さく、INPEXは売上収益が4.6%減・営業利益が0.3%増でした。★★当サイトは、エクソンモービル以外の会社の増減の理由を書きません。各社が数値で分解していないためです。
エクソンモービルの登録主体が変わったと聞きました
変わりました。★同社は2026年7月1日に、ニュージャージー州からテキサス州へ本店を移す組織再編(Redomiciliation Merger)を完了しました。テキサス州法人のExxonMobil Holdings Corporationが証券取引法Rule 12g-3(a)にもとづく承継登録者となり、ティッカーXOMを引き継いでいます。★★事業の中身は変わっていません。旧会社の株式1株が新会社の1株へ自動的に交換され、株主は同じ株数・同じ比率を保有します。★★★当サイトのデータの取り方には影響しました。SECのティッカー一覧はXOMを新しい登録主体に結び付けますが、そちらには年次決算が1件もありません。5期の推移は組織再編前の登録主体から取っています。★会社は1882年にニュージャージー州で設立されており、144年ぶりの本店の移転にあたります。
日本の会社の推移で、注意することはありますか?
3社とも1つずつあります。★★★ENEOSホールディングス — 2022年3月期と2023年3月期だけ、金属事業が入ったままです。会社は2025年3月のJX金属の上場に伴い金属事業を非継続事業に分類しましたが、組み替えたのは直近3期だけだと注記しています。★★★出光興産 — 2024年1月1日の株式分割(1株→5株)で遡って直されたのは、1株当たり純資産額と1株当たり当期純利益だけです。配当は含まれていないため、当サイトは分割前2期の配当を表から落としました。★★★INPEX — 推移が4期しかありません。第18期からIFRSを適用しており、有価証券報告書のIFRSの表がIFRS移行日(2022年1月1日)から始まるためです。★★出光興産はさらに、2027年3月期の第1四半期からIFRSへ移行しています。5期の推移(日本基準)と直近の四半期(IFRS)は土台が違うので、当サイトは1つのグラフに混ぜていません。
通期の見通しはどこが公表していますか?
日本側の3社だけです。★米国3社は、通期の売上高や利益の見通しをSECの提出書類に書きません。10-Kにも10-Qにも決算発表資料にも、金額の見通しはありません。★日本側3社は、日本の制度にもとづき決算短信で公表します。ENEOSホールディングスは売上高12兆8,500億円・営業利益6,100億円・当期利益4,150億円、INPEXは売上収益1兆9,730億円・営業利益1兆2,230億円・当期利益5,100億円です。★★出光興産は売上収益の予想を出さず、利益の項目だけを示しています(当期利益750億円)。★★「在庫影響を除いた」数字が2社に出てきます。原油価格が動くと棚卸資産の評価を通じて利益が揺れるため、その影響を除いた数字を会社が併記しています。★★★同じ業界でも、見通しの示し方が日米で大きく分かれます。
数値はいつ時点のものですか?
決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)によります。決算期は会社ごとに異なり、エクソンモービル・シェブロン・コノコフィリップス・INPEXは12月末、ENEOSホールディングスと出光興産は3月末です。★直近の実績は、米国3社が2026年4〜6月期(四半期報告書)、ENEOSホールディングスと出光興産が2026年4〜6月期(第1四半期決算短信)、INPEXが2026年1〜6月期(中間期決算短信)です。★INPEXだけ期間の長さが違うことに注意が要ります。株価と時価総額はページ下部の更新日時点の値です。
注記(2件)
- アメリカの対応企業
- 日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。
- 規模の比較
- 米ドルはページ下部のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
出典
売上高・純利益は各社の直近の通年決算(米国企業 FY2025/日本企業 2025年12月期・2026年3月期)によります。出典は米国SEC(証券取引委員会)の年次報告書(10-K)、金融庁EDINETの有価証券報告書、株価はYahoo Finance。円換算は1米ドル = 158.92円。
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は更新時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。
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