不動産Real Estate
日本の顔ぶれ
- 三井不動産賃貸(外部売上の34.6%)・分譲(26.9%)・マネジメント(18.9%)・その他(10.6%)・施設営業(9.0%)の5部門。部門の利益は「事業利益」で、営業利益に持分法投資損益と固定資産売却損益を加えたもの。売上高2兆7,097億円は日米6社で最大。2025年3月期に株式分割。直近の四半期は売上高23.1%減・純利益39.0%減。アメリカではサイモン・プロパティー・グループプロロジスアメリカン・タワーウェルタワー
- 三菱地所コマーシャル不動産(34.9%)・住宅(25.8%)・丸の内(21.6%)・海外(11.4%)・設計監理不動産サービス(4.3%)・投資マネジメント(2.0%)の6部門。丸の内という地区を部門として開示しているのは、当サイトの掲載企業でこの会社だけ。部門の利益は営業利益ベース。直近の四半期は純利益198.3%増。アメリカではプロロジスサイモン・プロパティー・グループウェルタワーアメリカン・タワー
アメリカの対応企業
ウェルタワーWELL
Welltower Inc.
高齢者向け住宅・介護施設・外来医療施設だけに絞ったREIT。部門はシニアハウジング(自社運営)78.3%・トリプルネット・外来医療施設・全社の4区分で、部門の利益はNOI(売上高から物件の運営費だけを引いた金額)。利益率は97.2%・70.2%・27.0%と開くが、費用の負担者が違うため。売上の20.0%が英国。売上は5期で2.29倍になったが当期純利益は9億36百万ドル。従業員712人。売上高10.8十億ドル。
- 売上高1.7兆円
- 純利益1,487億円
- 時価総額25.4兆円
- 株価227.71USD
- 掲載企業内シェア29.6%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- 三菱地所
- 三井不動産
アメリカン・タワーAMT
American Tower Corporation
通信塔の事業を4地域に分け、データセンターとサービスを加えた6部門。米国・カナダが売上の49.3%。データセンターは売上の9.9%だが設備投資では38.7%を占める。株主資本比率5.8%は日米6社で最も低く、ROEは71.9%と出る。通期の見通しをGAAPの金額で示している唯一の米国企業。
- 売上高1.7兆円
- 純利益4,015億円
- 時価総額11.9兆円
- 株価162.20USD
- 掲載企業内シェア29.1%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- 三井不動産
- 三菱地所
プロロジスPLD
Prologis, Inc.
物流施設の賃貸と開発が売上の93.3%。もう1つの部門は共同投資ファンドの運用。地域別は米国91.0%。株主資本比率53.9%は日米6社でウェルタワーに次いで高い。部門の利益は一般管理費と減価償却費を引く前の金額。1株当たり配当金は5期続けて増配。2026年に英国SEGRO plcへの買収提案の可能性を開示している。
- 売上高1.4兆円
- 純利益5,283億円
- 時価総額19.0兆円
- 株価128.91USD
- 掲載企業内シェア24.0%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- 三井不動産
- 三菱地所
サイモン・プロパティー・グループSPG
Simon Property Group, Inc.
報告セグメントが単一で、会社は「不動産事業が連結総資産の96%」と記載。地域別は割合だけの開示(米国外が総収入の5.3%)。2025年12月期の当期純利益46億27百万ドルには、TRGの支配獲得に伴う非現金の評価益28億58百万ドルが含まれる。1株当たり配当金8.55ドルは米国4社で最も高い。
- 売上高1.0兆円
- 純利益7,345億円
- 時価総額10.3兆円
- 株価200.95USD
- 掲載企業内シェア17.4%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- 三井不動産
- 三菱地所
カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。
日米の構造の違い
正面から重なる組み合わせが無い
★★日本の2社は「開発して、貸して、売って、管理する」総合デベロッパーです。三井不動産は賃貸・分譲・マネジメント・施設営業の4本柱、三菱地所はコマーシャル不動産・住宅・丸の内・海外・設計監理不動産サービス・投資マネジメントの6部門を持ちます。
★★★米国の4社はいずれも1つの種類の資産に絞ったREITです。プロロジスは物流施設、サイモン・プロパティー・グループはモール、アメリカン・タワーは通信塔とデータセンター、ウェルタワーは高齢者向け住宅・介護施設・外来医療施設です。分譲(物件の販売)に当たる事業を4社とも持っていません。
★★三井不動産の分譲は外部売上の26.9%(7,292億71百万円)で、部門の事業利益1,931億82百万円は賃貸の1,770億11百万円を上回ります。この部分に対応する米国企業がありません。
売上高は日本側のほうが大きい
★★★売上高の上位2つは日本の2社です。★★★ただしウェルタワー(約1兆7,203億円)は、三菱地所(1兆7,461億円)とほとんど同じ規模です(当サイトの計算)。
- ★三井不動産 … 2兆7,097億47百万円
- ★三菱地所 … 1兆7,461億48百万円
- ★アメリカン・タワー … 106億45百万ドル(約1兆6,897億円)
- ★ウェルタワー … 108億38百万ドル(約1兆7,203億円)
- ★プロロジス … 87億90百万ドル(約1兆3,952億円)
- ★サイモン・プロパティー・グループ … 63億64百万ドル(約1兆103億円)
★★日本の2社は分譲や請負の売上を含みます。三井不動産の分譲7,292億71百万円とその他(新築請負事業等)2,882億57百万円、三菱地所の住宅事業4,505億57百万円がこれにあたります。
★★★プロロジス・サイモン・プロパティー・グループ・アメリカン・タワーの売上はほぼ賃料です。サイモン・プロパティー・グループは賃料収入が売上の91.7%、プロロジスは物流施設の賃貸と開発が93.3%です(いずれも当サイトの計算)。★★ウェルタワーは売上の78.3%が自社で運営するシニアハウジングの収入で、入居者からの利用料を会社の収益として計上しています。
★米ドルはページ下部に記載のレートで円換算しています。
部門の利益の定義が6社で6通り
★★★同じ「部門の利益」でも、中身が6通りあります。
- ★三井不動産 … 事業利益。営業利益+持分法投資損益(不動産分譲を目的とした関係会社株式売却損益含む)+固定資産売却損益
- ★三菱地所 … 営業利益ベースの数値
- ★★プロロジス … 部門の営業利益(Reportable Segment Net Operating Income)。一般管理費と減価償却費を引く前
- ★★アメリカン・タワー … 部門の営業利益。株式報酬費用・本社の販売管理費・減価償却費・その他の費用を引く前
- ★★★サイモン・プロパティー・グループ … 報告セグメントが単一なので部門の利益が無い
- ★★ウェルタワー … NOI(Net Operating Income)。売上高から物件の運営費だけを引いた金額で、減価償却費・支払利息・一般管理費を引く前。会社自身がGAAPで定義された表示ではないと断っている
★★★プロロジスとアメリカン・タワーの部門の利益率が40%〜80%と高く出るのは、減価償却費を引く前の金額だからです。プロロジスの不動産事業は75.5%、アメリカン・タワーの米国・カナダは80.3%です(いずれも当サイトの計算)。日本の2社の部門の利益率とそのまま比べることはできません。
★★★ウェルタワーも同じ形ですが、部門ごとの差が非常に大きいです。トリプルネット97.2%・外来医療施設70.2%・シニアハウジング(自社運営)27.0%。費用の負担者が違うためで、トリプルネットは税金・保険・修繕を借り手が負担する契約、シニアハウジングは会社が運営費を負担する形です。優劣ではありません。
★★三井不動産の「事業利益」も、営業利益とは別のものです。2026年3月期は営業利益3,977億88百万円に対して事業利益4,451億20百万円で、差の473億32百万円は持分法投資損益と固定資産売却損益です。
財務の形が6社で大きく違う
★★★株主資本比率(自己資本比率)は5.8%から62.6%まで開いています。
- ★ウェルタワー … 62.6%
- ★プロロジス … 53.9%
- ★三井不動産 … 32.4%
- ★三菱地所 … 31.4%
- ★サイモン・プロパティー・グループ … 12.8%
- ★アメリカン・タワー … 5.8%
★ウェルタワーの62.6%は、株主資本421億29百万ドル÷総資産673億3百万ドルです(当サイトの計算)。新株の発行で株主資本が5期で2.4倍に増えました。
★★★アメリカン・タワーとサイモン・プロパティー・グループはROEが5期で30%〜114%と出ます。分母の株主資本が小さいためで、収益力の高さをそのまま表す数字ではありません。当サイトは会社の数値から計算したROEをそのまま載せていますが、この2社については分母の小ささを合わせて読む必要があります。
★★日本の2社は31%〜32%でそろっています。三井不動産は5期で34.1%から32.4%へ、三菱地所は30.8%から31.4%へと、どちらも大きくは動いていません。
通期の見通しの出し方が3通りある
★★★6社で3通りに分かれます。
- ★金額で全項目 … 三井不動産・三菱地所。「今期の見通し」の節を出す
- ★★GAAPの金額(売上高・当期純利益) … アメリカン・タワー。節を出す
- ★★★GAAPの1株当たりの範囲だけ … プロロジス・サイモン・プロパティー・グループ・ウェルタワー(ウェルタワーは非GAAPの正規化FFOの1株当たりの金額も示す)。節ごと落とす
★★プロロジスは普通株主に帰属する当期純利益を1株当たり4.40〜4.55ドル、サイモン・プロパティー・グループは6.47〜7.47ドル、ウェルタワーは3.11〜3.19ドルと示していますが、売上高の総額は示していません。★ウェルタワーは非GAAPの正規化FFOを1株当たり6.36〜6.44ドルと示し、その調整表に普通株主に帰属する当期純利益の金額(23億02百万〜23億62百万ドル)も載せています(2026年7月27日の決算発表資料)。
★★アメリカン・タワーは不動産の売上高106億95百万〜108億45百万ドル、当期純利益32億70百万〜33億50百万ドルと金額で示しています。★売上高と当期純利益を見通しの表に金額で並べるのは、米国4社の中でこの会社だけです。
よくある質問
三井不動産のアメリカ版はどこですか?
★★★正面から重なる会社はありません。三井不動産は開発から賃貸・分譲・マネジメント・施設営業までを手がける総合デベロッパーで、米国の4社はいずれも1つの種類の資産に絞ったREITだからです。★★とくに分譲(外部売上の26.9%)に当たる事業を米国4社は持っていません。★★商業施設の賃貸ではサイモン・プロパティー・グループ、物流施設ではプロロジスが近い形です。★規模はサイモン・プロパティー・グループ(約1兆103億円)が三井不動産(2兆7,097億円)の0.37倍、プロロジス(約1兆3,952億円)が0.51倍、アメリカン・タワー(約1兆6,897億円)が0.62倍です。★ウェルタワー(約1兆7,203億円)も含めて、いずれも日本側のほうが大きい形です。
三菱地所に対応する米国企業はどこですか?
★★★正面から重なる会社はありません。三菱地所は6部門を持つ総合デベロッパーで、米国4社はいずれも1つの種類の資産に絞ったREITです。★★コマーシャル不動産事業が商業施設と物流施設を含むため、サイモン・プロパティー・グループとプロロジスの両方と部分的に重なります。★★規模ではウェルタワー(約1兆7,203億円)が三菱地所(1兆7,461億円)の0.99倍で、日米6社で最も近い組み合わせです。アメリカン・タワー(約1兆6,897億円)も0.97倍です。★★★ただしウェルタワーは高齢者向け住宅・介護施設・外来医療施設、アメリカン・タワーは通信塔とデータセンターの会社で、どちらもオフィスや住宅の開発は行っていません。
なぜ正面から重なる組み合わせが無いのですか?
★★★日本の2社と米国の4社で、事業の形が根本から違うためです。★日本の2社は「開発して、貸して、売って、管理する」総合デベロッパーで、三井不動産は5部門、三菱地所は6部門を持ちます。★★米国の4社はいずれも1つの種類の資産に絞ったREITです(プロロジス=物流施設、サイモン・プロパティー・グループ=モール、アメリカン・タワー=通信塔とデータセンター、ウェルタワー=高齢者向け住宅・介護施設・外来医療施設)。★★★分譲(物件の販売)に当たる事業を米国4社は持っていません。三井不動産の分譲は外部売上の26.9%、三菱地所の住宅事業は25.8%を占めます。★★重なる会社が無いことを、当サイトは隠さずそのまま書いています。
なぜプロロジスとアメリカン・タワーの部門の利益率が70%を超えるのですか?
★★★減価償却費を引く前の金額だからです。★プロロジスの表の見出しは「Reportable Segment Net Operating Income」で、部門の利益は一般管理費と減価償却費を差し引く前の金額です。2部門の合計65億9百万ドルから一般管理費4億69百万ドルと減価償却費26億26百万ドルを引き、売却益を足すと連結の営業利益43億57百万ドルになります。★アメリカン・タワーも同じ形で、6部門の合計73億65百万ドルから株式報酬費用・本社の販売管理費・減価償却費・その他の費用を引くと、継続事業の税引前利益30億44百万ドルになります。★★★日本の2社の部門の利益率とそのまま比べることはできません。★当サイトは各社の定義をそのまま書いています。
サイモン・プロパティー・グループの当期純利益が倍近くになったのはなぜですか?
★★★TRG(タウブマン・リアルティ・グループ)の支配獲得に伴う非現金の評価益28億58百万ドルを計上したためです。★会社は「2025年10月31日に、それまで保有していなかったTRGの残り12%の持分を、オペレーティング・パートナーシップの約506万口と引き換えに取得した。この取得によりTRGの支配を獲得し、同日から連結している」と記載しています。★★会計上は企業結合として扱われ、それまで持っていた88%の持分を公正価値で評価し直したことにより、2025年10〜12月期に28億58百万ドルの非現金の利益を認識したとしています。★普通株主に帰属する当期純利益は46億27百万ドル(前期23億70百万ドル)、1株当たり利益は14.17ドル(7.26ドル)です。★★★当サイトはこの評価益を除いた利益を作りません。会社が公表した数値をそのまま載せています。
日本の2社が同じ四半期に正反対の動きをしているのはなぜですか?
★★2026年4〜6月期は、三井不動産が売上高23.1%減・純利益39.0%減、三菱地所が営業収益39.4%増・純利益198.3%増でした。★★★当サイトは理由を書きません。どちらの会社も要因を数値で示していないためです。★★通期の予想はどちらも増収増益で、三井不動産は売上高3.3%増・当期純利益2.3%増、三菱地所は営業収益14.5%増・当期純利益5.6%増としています。★三井不動産の前年同期(2025年4〜6月期)は売上高が27.3%増・営業利益が58.1%増と大きく伸びた期でした。★★不動産の売上には物件の売却が含まれるため、四半期ごとの振れが大きくなります。三井不動産の分譲部門の事業利益1,931億82百万円のうち517億54百万円は固定資産売却損益です(通期の数値)。
プロロジスの配当のところに注記があるのはなぜですか?
★★★SECのXBRLの「宣言した1株当たり配当金」が実態と合わないためです。★`CommonStockDividendsPerShareDeclared` はこの会社では0〜0.03ドルという小さな値になっています。★同じ10-Kの `CommonStockDividendsPerShareCashPaid`(支払った1株当たり配当金)は2.52〜4.04ドルで、こちらが実際の配当です。★★当サイトの取り込みは宣言額を先に見るため、そのままだと1株当たり配当金がほぼゼロで出てしまいます。会社が10-Kに載せた支払額で上書きしました。★★★金額は書き換えていません。会社の公表値をそのまま使っています。
6社の決算期はそろっていますか?
★日本2社は3月末、米国4社は12月末です。★★ただし直近の四半期はどれも2026年4〜6月期なので、同じ3か月で比べられます。★日本2社は2027年3月期の第1四半期、米国4社は2026年12月期の第2四半期という呼び方の違いがあります。★★通期の数値は、日本2社が2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)、米国4社が2025年12月期(2025年1月〜12月)で、3か月ずれています。
数値はいつ時点のものですか?
日本2社の5期の推移・部門別・地域別・経営計画は2026年3月期の有価証券報告書(いずれも2026年6月24日提出)、直近の決算と通期の予想は2026年8月7日公表の第1四半期決算短信によります。米国4社の5期の推移は米国SECに提出されたXBRLデータ、部門別は2025年12月期のForm 10-K(2026年2月12日〜25日提出)、直近の四半期と見通しは2026年7月16日〜8月10日公表の決算発表資料によります(ウェルタワーの直近の四半期は2026年7月28日提出の四半期報告書)。株価と時価総額と円換算のレートは、ページ下部に記載しています。
注記(2件)
- アメリカの対応企業
- 日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。
- 規模の比較
- 米ドルはページ下部のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業4社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
出典
売上高・純利益は各社の直近の通年決算(米国企業 FY2025/日本企業 2026年3月期)によります。出典は米国SEC(証券取引委員会)の年次報告書(10-K)、金融庁EDINETの有価証券報告書、株価はYahoo Finance。金額の円換算は1米ドル = 158.73円、株価と時価総額は1米ドル = 157.83円。
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は更新時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。
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