化学の米国株 — 日本企業から見る対応表

三菱ケミカルグループのいちばん大きい事業は、化学品ではなく産業ガスです。売上の38.0%を占めます。

産業ガスとは酸素・窒素・アルゴンなどのことで、この分野で世界最大と10-Kに書いているのがリンデです。日本側では大陽日酸(2026年4月に日本酸素へ商号変更)が担っています。

「化学」とひとくくりにされる会社でも、開示資料を開くと中身はかなり違います。

この業界の日本の顔ぶれ

信越化学工業

電子材料(半導体シリコン、フォトレジスト、マスクブランクス)、生活環境基盤材料(塩化ビニル樹脂、か性ソーダ)、機能材料(シリコーン)、加工・商事・技術サービスの4セグメント。

売上の内訳(2026年3月期)
区分構成比
電子材料39.5%
生活環境基盤材料38.1%
機能材料17.1%
加工・商事・技術サービス5.3%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は内訳の合計に占める割合で、会社が開示する区分をそのまま用いています。「その他」に当たる区分は含まれないため、合計は売上高と一致しないことがあります。

アメリカではダウ デュポン リンデ

三菱ケミカルグループ

スペシャリティマテリアルズ、MMA&デリバティブズ、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、産業ガスの4セグメント。産業ガスは大陽日酸(現・日本酸素)が担う。当期から区分を変更した。

売上の内訳(2026年3月期)
区分構成比
産業ガス38.0%
スペシャリティマテリアルズ29.8%
ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ22.2%
MMA&デリバティブズ9.9%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は内訳の合計に占める割合で、会社が開示する区分をそのまま用いています。「その他」に当たる区分は含まれないため、合計は売上高と一致しないことがあります。

アメリカではリンデ ダウ デュポン

住友化学

エッセンシャル&グリーンマテリアルズ、ICT&モビリティソリューション、アグロ&ライフソリューション、住友ファーマ、アドバンストメディカルソリューション。医薬品を報告セグメントとして持つ。

売上の内訳(2026年3月期)
区分構成比
エッセンシャル&グリーンマテリアルズ29.7%
ICT&モビリティソリューション25.2%
アグロ&ライフソリューション22.7%
住友ファーマ(医薬品)19.8%
アドバンストメディカルソリューション2.6%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は内訳の合計に占める割合で、会社が開示する区分をそのまま用いています。「その他」に当たる区分は含まれないため、合計は売上高と一致しないことがあります。

アメリカではダウ デュポン リンデ

アメリカの対応企業

企業ティッカー事業売上高掲載企業内シェア時価総額対応の濃さ
ダウDOW INC.DOWパッケージング&スペシャリティプラスチックス50.9%、インダストリアルインターミディエイツ&インフラストラクチャー28.4%、パフォーマンスマテリアルズ&コーティングス20.7%の3セグメント。前身は1897年にミシガンで設立された会社。6.4兆円FY2025 · 米国基準49.5%3.6兆円三菱ケミカルグループ
信越化学工業
住友化学
リンデLINDE PLCLIN産業ガスの会社で、10-Kに世界最大と記載する。酸素・窒素・アルゴンなどの空気由来のガスと、水素・ヘリウム・電子材料用ガスなどを扱う。アイルランドの法人で、主要事業所は英国と米国。5.4兆円FY2025 · 米国基準42.1%35.5兆円三菱ケミカルグループ
信越化学工業
住友化学
デュポンDuPont de Nemours, Inc.DDダイバーシファイドインダストリアルズ52.8%、ヘルスケア&ウォーターテクノロジーズ47.2%の2セグメント。ヘルスケア、水、建設、産業向けの分野を挙げる。売上高6.8十億ドル。1.1兆円FY2025 · 米国基準8.5%3.1兆円三菱ケミカルグループ
信越化学工業
住友化学

対応の濃さ: 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/ 部分対応(一部の事業のみ重なる)

規模の比較

日米の掲載企業の売上高の比較(円換算)ダウFY2025 · 米国基準6.4兆円リンデFY2025 · 米国基準5.4兆円三菱ケミカルグループ2026年3月期 · IFRS3.7兆円信越化学工業2026年3月期 · 日本基準2.6兆円住友化学2026年3月期 · IFRS2.3兆円デュポンFY2025 · 米国基準1.1兆円

日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上の表のシェアは、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。

日米の構造の違い

ダウとデュポンは、もともと1つの会社だった

デュポンの10-Kには、次の経緯が書かれています。

いま別々に上場している2社は、一度合併してから3つに分かれた結果です。売上高がダウ39.3十億ドル、デュポン6.8十億ドルと開きがあるのも、この経緯と関係します。

三菱ケミカルグループの最大事業は産業ガス

三菱ケミカルグループの報告セグメントで最大なのは産業ガス(38.0%)です。有価証券報告書には、このセグメントの主要な会社として大陽日酸などが挙げられています。

リンデは10-Kで自社を「世界最大の産業ガスの会社」と説明し、酸素・窒素・アルゴンといった空気由来のガスと、水素・ヘリウム・電子材料用ガスなどを主要製品に挙げています。

この2社は同じ事業で正面から重なります。 このページで◎はここだけです。

リンデは国ごとに売上を出している

リンデはXBRLに事業別の内訳を持たず、地域別だけを開示しています。しかもその区分が国単位で細かいのが特徴です。

米国35.8%、その他海外33.1%、中国7.7%、ドイツ7.2%、英国4.4%、メキシコ4.1%、ブラジル3.9%、オーストラリア3.8%。

産業ガスは輸送に向かず、使う場所の近くで作る事業です。開示の形にもそれが表れています。

日本側だけが持つもの

リンデは「米国株」なのか

リンデの10-Kには「アイルランドの法律に基づいて設立された公開有限会社で、主要な事業所は英国と米国にある」と書かれています。

当サイトはSECに提出書類を出している会社を対象にしており、リンデはその条件を満たします。ただし本社が米国にある会社ではないため、その旨をここに明記します。

よくある質問

三菱ケミカルグループのアメリカ版はどこですか?

最大セグメントである産業ガスに限れば、リンデです。ただし三菱ケミカルグループは残りの62%でスペシャリティマテリアルズ、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ、MMA&デリバティブズを手がけており、これらはダウやデュポンの領域と重なります。1社では対応しきれない会社です。

信越化学工業に◎が付かないのはなぜですか?

信越化学工業の最大事業は電子材料(39.5%)で、半導体シリコンやフォトレジストを扱います。米国3社のうち、これと正面から重なる区分を開示している会社がありません。デュポンは2区分しか開示しておらず、重なりを開示資料から確かめられませんでした。

デュポンの売上高が小さいのはなぜですか?

10-Kに、2019年にダウ(素材科学)とコルテバ(農業)をスピンオフで分離した経緯が記載されています。当サイトが載せている6.8十億ドルは、分離後の事業によるものです。各事業がどちらへ移ったかの内訳までは追っていないため、それ以上の説明はしません。

住友化学は製薬会社でもあるのですか?

報告セグメントの1つに「住友ファーマ」があり、売上の19.8%を占めます。別にアドバンストメディカルソリューション(2.6%)もあります。当サイトの医薬品ページには武田薬品工業・第一三共・アステラス製薬を載せており、住友化学はそちらには入れていません。企業の主所属は1つに決める方針のためです。

数値はいつ時点のものですか?

決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)によります。米国3社は12月期、日本3社は3月期です。株価と時価総額はページ上部に記載した基準日の値です。

数値の基準日

売上高(米国企業)
各社の直近の通年決算(FY2025)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
売上高(日本企業)
各社の直近の通年決算(2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
株価・時価総額
2026-08-15 時点
為替
1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)

投資判断は自己責任で行ってください。

当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。