化粧品の米国株 — 日本企業から見る対応表

化粧品の6社は、開示資料の切り方が1社ずつ違います

コーセーホールディングスとコティは価格帯で2つに分け、資生堂は地域で5つに分け、エスティローダーは製品カテゴリーで4つに分けています。ポーラ・オルビスホールディングスは売上高の96.4%が1つの部門に入り、e.l.f.ビューティーは部門の内訳そのものを開示していません。

同じ「化粧品」でも、会社が自分をどう区切っているかが揃っていないということです。このページでは、その違いを先に示したうえで並べています。

この業界の日本の顔ぶれ

資生堂

報告セグメントが地域別5区分(日本・中国&トラベルリテール・アジアパシフィック・米州・欧州)。部門の利益はコア営業利益。2025年12月期は営業損失287億88百万円・当期損失406億80百万円で、米州事業に減損512億99百万円を計上した。

売上の内訳(2025年12月期)
区分構成比
中国・トラベルリテール事業35.3%
日本事業30.4%
欧州事業14.5%
米州事業11.0%
アジアパシフィック事業7.6%
報告セグメント以外(差額)1.2%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は連結の売上高に占める割合です。★最後の行は当サイトが連結の売上高から報告セグメントの合計を引いて求めたものです。会社が「その他」として開示している区分にあたり、有価証券報告書のXBRLには区分としてのタグが付いていません。

くわしく資生堂の決算と中期経営計画

アメリカではエスティローダーコティe.l.f.ビューティー

コーセーホールディングス

化粧品事業(高価格帯)とコスメタリー事業(一般価格帯)の2部門。化粧品事業が売上高の79.4%。2026年1月に持株会社体制へ移行し、株式会社コーセーから商号変更した。米国のtarte, Inc.を持ち、北米がアジアより大きい。

売上の内訳(2025年12月期)
区分構成比
化粧品事業79.4%
コスメタリー事業19.5%
報告セグメント以外(差額)1.0%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は連結の売上高に占める割合です。★最後の行は当サイトが連結の売上高から報告セグメントの合計を引いて求めたものです。会社が「その他」として開示している区分にあたり、有価証券報告書のXBRLには区分としてのタグが付いていません。

くわしくコーセーホールディングスの決算と中長期ビジョン

アメリカではコティエスティローダーe.l.f.ビューティー

ポーラ・オルビスホールディングス

ビューティケア事業が売上高の96.4%。POLA・ORBIS・Jurlique・DECENCIA・THREE・FUJIMI を並べる「マルチブランド戦略」。POLAは全国2,373店・17,498人のビューティーディレクターによる委託販売。売上高の87.0%が日本。

売上の内訳(2025年12月期)
区分構成比
ビューティケア事業96.4%
報告セグメント以外(差額)1.8%
不動産事業1.8%

有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は連結の売上高に占める割合です。★最後の行は当サイトが連結の売上高から報告セグメントの合計を引いて求めたものです。会社が「その他」として開示している区分にあたり、有価証券報告書のXBRLには区分としてのタグが付いていません。

くわしくポーラ・オルビスホールディングスの決算と中期経営計画

アメリカではエスティローダーコティe.l.f.ビューティー

アメリカの対応企業

エスティローダーEL

The Estée Lauder Companies Inc.

製品カテゴリー別4区分(スキンケア48.7%・メイクアップ28.4%・フレグランス18.5%・ヘアケア3.8%)。地域別も別に開示し、中国本土を独立した区分として示す。売上高15.0十億ドルで6社中最大。2026年6月期に営業黒字へ戻った。

  • 売上高2.4兆円FY2026 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア66.9%
  • 時価総額5.9兆円
対応する日本企業
  • 資生堂
  • コーセーホールディングス
  • ポーラ・オルビスホールディングス

コティCOTY

Coty Inc.

プレステージ(高価格帯)65.5%とコンシューマービューティ(一般価格帯)34.5%の2区分。2026年6月期は営業損失8,150万ドル。1904年パリ創業で、ブランドは自社保有とライセンスが混ざる。欧州中東アフリカが最大の地域。

  • 売上高9,224億円FY2026 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア25.8%
  • 時価総額3,833億円
対応する日本企業
  • コーセーホールディングス
  • 資生堂
  • ポーラ・オルビスホールディングス

e.l.f.ビューティーELF

e.l.f. Beauty, Inc.

単一の事業セグメント。「製品ラインごとの売上高を示すことは実務上不可能」と10-Kに注記。開示される内訳は米国79.0%・米国以外21.0%の2区分だけ。売上高は5期で4.2倍。5期とも無配。

  • 売上高2,600億円FY2026 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア7.3%
  • 時価総額9,556億円
対応する日本企業
  • コーセーホールディングス
  • 資生堂
  • ポーラ・オルビスホールディングス

カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。

規模の比較

日米の掲載企業の売上高の比較(円換算)エスティローダーFY2026 · 米国基準2.4兆円資生堂2025年12月期 · IFRS9,700億円コティFY2026 · 米国基準9,224億円コーセーホールディングス2025年12月期 · 日本基準3,302億円e.l.f.ビューティーFY2026 · 米国基準2,600億円ポーラ・オルビスホールディングス2025年12月期 · 日本基準1,703億円

日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。

日米の構造の違い

部門の切り方が6社とも違う

同じ業界の6社ですが、会社が自分をどう区切っているかが揃っていません。

価格帯で切っているのはコーセーホールディングスとコティの2社だけです。この2社は形が正面からそろうため、対応関係を◎にしています。

資生堂は部門が地域そのものになっている

資生堂の報告セグメントは、日本事業・中国&トラベルリテール事業・アジアパシフィック事業・米州事業・欧州事業の5つです。製品ではなく地域で区切っているため、他の5社の「部門別」とは意味が違います。

会社は製品区分別の内訳について「化粧品事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書上の『売上高』のほとんどを占めているため、記載を省略します」と注記しています。

そのため資生堂の個票には「地域別の売上」の節がありません。部門別の表が地域別の表を兼ねているからです。

資生堂とコティは2025〜2026年の決算で損失を出している

日本の残り2社(コーセーホールディングス・ポーラ・オルビスホールディングス)と、e.l.f.ビューティーは、直近の通期がいずれも黒字です。

中国とアジアの重みが会社によって大きく違う

中国が利益の柱になっているのは資生堂とエスティローダーの2社です。

買い増しと手放しが同じ時期に起きている

6社の直近の開示には、事業を買う話と手放す話が並んでいます。

当サイトはこれらの良し悪しを述べません。会社が公表した事実を並べています。

規模の差が大きい

売上高(直近の通期・米ドルは基準日のレートで円に直したもの)は次のとおりです。

エスティローダーの売上高はポーラ・オルビスホールディングスの約14.1倍です。

表では円換算・同一基準日で並べているので、6社を通して比べられます。

よくある質問

資生堂のアメリカ版はどこですか?

スキンケアを軸にした高価格帯の世界展開という点でもっとも近いのはエスティローダーです。★規模はエスティローダー(約2兆3,925億円)が資生堂(9,700億円)の約2.5倍です。★★ただし部門の切り方が違います。資生堂は地域で5つに分け、エスティローダーは製品カテゴリーで4つに分けています。★アジア(中国)が利益の柱という形は共通しています。資生堂は中国&トラベルリテール事業のコア営業利益645億25百万円が5部門で最大、エスティローダーはアジア太平洋と中国本土の2区分で地域別営業利益の74.6%を占めます。

コーセーホールディングスに対応する米国企業はどこですか?

コティです。★★6社の中で、高価格帯と一般価格帯の2つに部門を分けているのはこの2社だけだからです。コーセーホールディングスは化粧品事業(79.4%)とコスメタリー事業(19.5%)、コティはプレステージ(65.5%)とコンシューマービューティ(34.5%)です。★規模はコティ(約9,232億円)がコーセーホールディングス(3,302億円)の約2.8倍です。★★ただし直近の決算は正反対です。コーセーホールディングスは営業利益184億67百万円、コティは営業損失8,150万ドルです。

なぜ資生堂の個票に「地域別の売上」の節がないのですか?

★★★報告セグメントそのものが地域だからです。資生堂の5つの部門は日本事業・中国&トラベルリテール事業・アジアパシフィック事業・米州事業・欧州事業で、製品ではなく地域で区切られています。★部門別の表が地域別の表を兼ねているため、同じ数字を2度見せないよう地域別の節を落としています。★会社は製品区分別の内訳を「化粧品事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書上の『売上高』のほとんどを占めているため、記載を省略します」と注記しています。

なぜe.l.f.ビューティーの個票に「部門ごとの売上と利益」の節がないのですか?

★★会社の報告セグメントが単一だからです。10-Kには「It is impracticable for the Company to provide revenue by product line(製品ラインごとの売上高を示すことは当社にとって実務上不可能である)」と注記されています。★会社が開示している内訳は米国(79.0%)と米国以外(21.0%)の2区分だけで、これは「地域別の売上」の節に置いています。★開示されていないことを推測で補うことはしません。

コティのグッチビューティ撤退はどれくらい影響しますか?

★★★会社は金額を示していません。決算発表資料には「グッチビューティのライセンスからの撤退は2028年6月期の売上と利益の段差になる」という記述があるだけです。★契約の条件は公表されています。期限のおよそ1年前倒しでケリングへ4億ドル(在庫の対価は別)で売り戻し、契約時に250百万ドル、残る150百万ドルを2027年9月30日までに受け取る(うち最大30百万ドルは条件付き)としています。★当サイトが影響額を推計することはしません。

6社の決算期はそろっていますか?

そろっていません。日本の3社(資生堂・コーセーホールディングス・ポーラ・オルビスホールディングス)はいずれも12月末、エスティローダーとコティは6月末、e.l.f.ビューティーは3月末です。★★そのため「直近の通期」が指す期間は会社ごとに違います。表の見出しに各社の決算期を書いています。

数値はいつ時点のものですか?

決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)と、そのあとに公表された決算発表資料によります。日本の3社は2025年12月期、エスティローダーとコティは2026年6月期、e.l.f.ビューティーは2026年3月期です。株価と時価総額はページ上部に記載した基準日の値で、米ドルの円換算レートも同じ基準日のものです。

数値の基準日

売上高(米国企業)
各社の直近の通年決算(FY2026)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
売上高(日本企業)
各社の直近の通年決算(2025年12月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
株価・時価総額
2026-08-22 時点
為替
1米ドル = 158.86円(2026-08-22 時点)

投資判断は自己責任で行ってください。

当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。