小売の米国株 — 日本企業から見る対応表
この業界には、当サイトの前提が崩れる組み合わせがあります。
セブン&アイ・ホールディングスの有価証券報告書を読むと、海外コンビニエンスストア事業に 7-Eleven, Inc. と Speedway LLC が並んでいます。米国のセブン-イレブンは、日本の会社の子会社です。
「日本企業のアメリカ版を探す」という当サイトのやり方は、ここでは通用しません。探す前に、もう持っているからです。
この業界の日本の顔ぶれ
セブン&アイ・ホールディングス
純粋持株会社を含む154社。国内コンビニ事業(9社)と海外コンビニ事業(133社)が柱で、海外側に米国の 7-Eleven, Inc. と Speedway LLC を含む。2026年4月に事業セグメントの変更を決議した。
売上の内訳(2026年2月期)
| 区分 | 構成比 |
|---|---|
| 海外コンビニエンスストア | 83.2% |
| 国内コンビニエンスストア | 8.9% |
| スーパーストア | 6.7% |
| 金融関連 | 1.2% |
有価証券報告書のセグメント情報から、外部顧客への売上高を取得しています。構成比は内訳の合計に占める割合で、会社が開示する区分をそのまま用いています。「その他」に当たる区分は含まれないため、合計は売上高と一致しないことがあります。
アメリカの対応企業
| 企業 | ティッカー | 事業 | 売上高 | 掲載企業内シェア | 時価総額 | 対応の濃さ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ウォルマートWalmart Inc. | WMT | ウォルマート米国68.4%、ウォルマートインターナショナル18.5%、サムズクラブ米国13.2%の3セグメント。売上高は706.4十億ドルで、この5社のなかで最大。 | 112.5兆円FY2026 · 米国基準 | 67.8% | 146.1兆円 | セブン&アイ・ホールディングス ○ ファーストリテイリング △ |
| コストコCostco Wholesale Corp /NEW | COST | 1983年にシアトルで開業した会員制の倉庫店。2025年8月末で世界914店。出店国に日本を含む。米国72.7%、カナダ13.4%、その他海外13.9%。 | 43.8兆円FY2025 · 米国基準 | 26.4% | 67.9兆円 | セブン&アイ・ホールディングス △ ファーストリテイリング △ |
| TJXTJX COMPANIES INC /DE/ | TJX | 衣料品とホームファッションのオフプライス小売。5,200店超で、定価の小売店より20〜60%安い価格帯と10-Kに記載する。Marmaxxが60.6%。 | 9.6兆円FY2026 · 米国基準 | 5.8% | 26.8兆円 | ファーストリテイリング ○ セブン&アイ・ホールディングス △ |
対応の濃さ:◎ 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/○ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/△ 部分対応(一部の事業のみ重なる)
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上の表のシェアは、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
日米の構造の違い
日本の会社が、米国のコンビニを持っている
セブン&アイ・ホールディングスの有価証券報告書には、事業が2つの柱で書かれています。
- 国内コンビニエンスストア事業 — 9社
- 海外コンビニエンスストア事業 — 133社
海外側の筆頭に挙がっているのが 7-Eleven, Inc. です。ガソリンスタンド併設店の Speedway LLC も同じ区分に入っています。会社数で見ると、セブン&アイは日本の会社というより海外に広がった会社です。
この業界で「セブン&アイのアメリカ版はどこか」と問うと、答えは「セブン&アイ自身」になります。当サイトはこうした歪みを隠さずに書きます。
◎が1件もない理由
この業界には◎(直接競合)が1件もありません。判定を厳しくしたからではなく、日米で同じ業態の会社を並べていないためです。
- 日本側 — コンビニエンスストア(セブン&アイ)と、衣料品の製造小売(ファーストリテイリング)
- 米国側 — スーパーセンター(ウォルマート)、会員制倉庫店(コストコ)、オフプライス(TJX)
小売は「何を売るか」だけでなく「どう売るか」で分かれます。売り場の大きさ、買い物の頻度、価格の付け方が業態ごとに違うため、扱う商品が重なっていても同じ会社とは言えません。
通信のページでも◎は1件もありませんでしたが、理由は違います。通信は各国の免許事業だからで、小売は業態が細かく分かれるからです。
同じ衣料品でも、仕入れ方が逆
ファーストリテイリングとTJXは、どちらも衣料品を売る会社です。ただし商品の集め方が逆になっています。
- ファーストリテイリング — 自社で企画した商品を、自社の店舗(ユニクロ、ジーユー)で売る
- TJX — 他社のブランド品を買い付け、定価より20〜60%安い価格で売る(10-Kに記載)
TJXの10-Kには「a rapidly changing assortment(頻繁に入れ替わる品ぞろえ)」とあります。同じ商品を安定して置くのではなく、そのとき仕入れられたものを並べる売り方です。
コストコは日本にも出店している
コストコの10-Kには、会員制倉庫店を展開する国として日本が明記されています。米国、プエルトリコ、カナダ、メキシコ、日本、英国、韓国、オーストラリア、台湾、中国、スペイン、フランス、スウェーデン、アイスランド、ニュージーランドです。
2025年8月末で世界914店。米国が売上の72.7%を占めます。
日本の読者にとっては、この5社のなかでもっとも身近に店舗がある米国企業です。
規模の差が大きい
同じ小売でも、売上高の規模はかなり違います。
- ウォルマート — 706.4十億ドル
- コストコ — 275.2十億ドル
- TJX — 60.4十億ドル
ウォルマートはTJXの10倍以上です。表の売上高は同じ物差し(円換算・同一基準日)で並べているので、日本の2社を含めて比べられます。
よくある質問
セブン&アイ・ホールディングスのアメリカ版はどこですか?
セブン&アイ自身です。米国のセブン-イレブン(7-Eleven, Inc.)は同社の海外コンビニエンスストア事業に含まれる子会社で、ガソリンスタンド併設店の Speedway LLC も同じ区分にあります。
そのため当サイトでは、セブン&アイに◎の相手を置いていません。
ユニクロとTJXが○なのはなぜですか?
ともに衣料品を売る会社ですが、商品の集め方が逆だからです。ファーストリテイリングは自社で企画した商品を自社の店舗で売り、TJXは他社ブランドを買い付けて定価より安く売ります。重なりはありますが、同じ売り方ではないため○としました。
コストコは日本にもありますが、日本企業ではないのですか?
コストコは米国の会社です。10-Kに、会員制倉庫店を展開する国の1つとして日本が挙げられています。売上の内訳では米国が72.7%、カナダが13.4%、その他海外が13.9%で、日本単独の数字は開示されていません。
サムズクラブとコストコは同じような業態ですか?
ウォルマートの報告セグメントに「サムズクラブ米国」があり、売上の13.2%を占めます。ウォルマートは10-Kで自社の戦略に「membership models(会員制モデル)」を含めると説明しています。当サイトは開示資料に書かれていること以上の比較はしません。
セブン&アイのセグメントが変わると聞きました
有価証券報告書に、2026年4月9日開催の取締役会で事業セグメントの変更を決議したと記載されています。当サイトが載せている数値は、変更前の区分によるものです。新しい区分での数値は、次の有価証券報告書で開示され次第、更新します。
数値はいつ時点のものですか?
決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)によります。決算期は会社ごとに異なり、ウォルマートは1月末、コストコは8月末、TJXは1月末、セブン&アイは2月末、ファーストリテイリングは8月末です。株価と時価総額はページ上部に記載した基準日の値です。
数値の基準日
- 売上高(米国企業)
- 各社の直近の通年決算(FY2025・FY2026)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
- 売上高(日本企業)
- 各社の直近の通年決算(2025年8月期・2026年2月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
- 為替
- 1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。