銀行の米国株 — 日本企業から見る対応表

銀行は、当サイトが載せている業界の中で「売上高」と「部門の利益」の意味がいちばん製造業と違う業界です。

日本3社の売上高にあたるのは経常収益(貸出金や有価証券の利息、手数料などの合計)、米国3社は支払利息を差し引いた後の総収益です。さらに部門別の表に入っている数字は、6社とも連結の売上高ではありません。日本3社は粗利益、米国3社は総収益で、日本側は連結の経常収益の3〜4割の大きさしかありません。

部門の利益も日米で段階が違います。日本3社は与信関係費用も法人税も引く前、米国3社はどちらも引いた後の当期純利益です。同じ「部門の利益」という欄に入っていても、そのまま比べられる数字ではありません。

通期の開示も分かれます。日本3社は当期純利益の目標値または予想を1項目だけ示し、米国3社はGAAPの金額を1つも示しません。中長期の数値目標も日本3社だけが公表しています。

このページでは、売上高の意味・部門の分け方・部門の利益の定義・自国の比重・開示の作法という5つの軸で並べています。

この業界の日本の顔ぶれ

三菱UFJフィナンシャル・グループ

7つの事業本部+その他。粗利益ではコーポレートバンキング18.8%・グローバルCIB 18.1%・リテール・デジタル17.8%が上位。部門の利益は営業純益。経常収益14兆6,208億円は日本3社で最大で、うち52.3%が海外。通期は業績予想ではなく当期純利益2兆7,000億円の目標値だけ。中期経営計画は2026年度ROE12%程度。

くわしく三菱UFJフィナンシャル・グループの決算と中期経営計画

アメリカではJPモルガン・チェースバンク・オブ・アメリカウェルズ・ファーゴ

三井住友フィナンシャルグループ

ホールセール・リテール・グローバル・市場の4事業部門で、バンク・オブ・アメリカと同じ数。部門の利益は連結業務純益。4部門の合計は本社管理等のぶん連結粗利益を上回る。2024年10月に1株→3株の分割をしており、5期の1株当たりの数値は途中で基準が変わる。2026年9月にさらに1株→2株の分割を予定。

くわしく三井住友フィナンシャルグループの決算と中期経営計画

アメリカではバンク・オブ・アメリカJPモルガン・チェースウェルズ・ファーゴ

みずほフィナンシャルグループ

顧客別の5カンパニー+その他。部門の表の数字だけがETF関係損益等を含む。米州が経常収益の33.8%で日本3社で最も高い。有価証券報告書の提出後に発行済株式総数が4,701万株減っており、決算短信の値で上書きしている。通期予想を第1四半期の実績を踏まえて上方修正した。

くわしくみずほフィナンシャルグループの決算と中期財務目標

アメリカではJPモルガン・チェースバンク・オブ・アメリカウェルズ・ファーゴ

アメリカの対応企業

JPモルガン・チェースJPM

JPMorgan Chase & Co.

3つの報告セグメント+コーポレート。コマーシャル&インベストメントバンクが総収益の42.3%。部門の利益は当期純利益で、法人税まで配分している。部門の数値は managed basis で、調整項目△31億34百万ドルを引くと米国会計基準の総収益になる。北米が76.6%。従業員318,512人のうちアジア太平洋が30.3%を占める。通期の見通しも中長期の目標も公表していない。

  • 売上高29.0兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア48.1%
  • 時価総額148.5兆円
対応する日本企業
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • みずほフィナンシャルグループ

バンク・オブ・アメリカBAC

Bank of America Corporation

4つの報告セグメント+その他。コンシューマーバンキングが総収益の37.4%。部門の合計はFTEベースで、米国会計基準の総収益と6億9百万ドル違う。米国が86.4%で、日米6社で最も自国の比重が高い。当期純利益は2021年12月期から3期続けて減り、2025年12月期に戻した。通期の見通しも中長期の目標も公表していない。

  • 売上高18.0兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア29.8%
  • 時価総額68.5兆円
対応する日本企業
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • みずほフィナンシャルグループ

ウェルズ・ファーゴWFC

Wells Fargo & Company

4つの報告セグメント+コーポレート。コンシューマーバンキング&レンディングが総収益の43.6%。部門の合計が連結と一致する唯一の会社。地域別を開示していない唯一の会社でもある。5期で総収益は5.7%しか増えていないが、自己株式の取得で1株当たり利益は23.2%増えた。2025年に資産規模の上限(asset cap)が解除された。

  • 売上高13.3兆円FY2025 · 米国基準
  • 掲載企業内シェア22.1%
  • 時価総額40.3兆円
対応する日本企業
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • みずほフィナンシャルグループ

カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。

規模の比較

日米の掲載企業の売上高の比較(円換算)JPモルガン・チェースFY2025 · 米国基準29.0兆円バンク・オブ・アメリカFY2025 · 米国基準18.0兆円三菱UFJフィナンシャル・グループ2026年3月期 · 日本基準14.6兆円ウェルズ・ファーゴFY2025 · 米国基準13.3兆円三井住友フィナンシャルグループ2026年3月期 · 日本基準10.8兆円みずほフィナンシャルグループ2026年3月期 · 日本基準9.1兆円

日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。

日米の構造の違い

「売上高」が6社とも別のものを指す

★★★銀行のページを読むときに、いちばん先に押さえるべき点です。

★★★さらに、部門別の表に入っている数字は6社とも連結の売上高ではありません。

★★★日本3社は有価証券報告書の注記で「一般企業の売上高に代えて」と断っています。三菱UFJは「粗利益を記載しております」、みずほは「業務粗利益(信託勘定償却前)+ETF関係損益等を記載しております」と書いています。(いずれの割合も当サイトの計算)

部門の利益が日米で段階から違う

★★★同じ「部門の利益」という欄でも、6社で6通りの名前が付いています。

★★★日本3社は法人税どころか与信関係費用も引く前、米国3社は法人税を引いた後です。利益率をそのまま並べることはできません。

★★6社とも損益計算書に営業利益の行がありません。日本3社の「主要な経営指標等の推移」は連結経常利益まで、米国3社はSECのXBRLに `OperatingIncomeLoss` が5期とも登録されていません。★そのため当サイトの推移の図は、日本3社が経常利益、米国3社が当期純利益になっています。

売上高で並べるとJPモルガン・チェースが突出する

★★6社の売上高を円にそろえると次のとおりです。

★★★JPモルガン・チェースは日本3社の合計34兆4,971億円の0.84倍にあたります(当サイトの計算)。

★★★ウェルズ・ファーゴだけが三菱UFJより小さい形です(0.91倍)。時価総額でも約40兆2,766億円対41兆6,319億円で0.97倍と近く、日米6社で最も規模の近い組み合わせです。

★★5期の伸びは正反対です。日本3社の経常収益は129.2%〜162.5%増、米国3社の総収益は5.7%〜50.0%増です(当サイトの計算)。★★★銀行の「売上高」の範囲が日米で違うため単純には比べられませんが、日本3社がそろって2倍以上になっているのは事実です。

米ドルはページ下部に記載の基準日のレートで円換算しています。

自国の比重が正反対

★★★日本3社はいずれも自国が半分を下回り、米国3社は4分の3を超えます。

★★みずほは米州だけで33.8%を占め、三菱UFJの米国20.2%・三井住友の米州23.8%を上回ります(当サイトの計算)。

★★★JPモルガン・チェースは従業員で見ると形が変わります。318,512人のうちアジア太平洋が96,499人(30.3%)を占め、総収益に占めるアジア太平洋7.7%とは大きく違います(当サイトの計算)。★★★当サイトはこの差の理由を書きません。会社が説明していないためです。

通期の開示が日米で分かれる

★★★日本3社は当期純利益の1項目だけ、米国3社は何も出しません。

★★中長期の数値目標も日本3社だけです。三菱UFJは2026年度ROE12%程度・業務純益2兆9,000億円、三井住友は2028年度ROE12%・ボトムライン利益2兆円、みずほは2028年度ROE12%超・連結業務純益1.8〜2.0兆円を掲げます。米国3社は公表しておらず、3社とも「中長期の目標」の節もありません。

★★★自己資本比率(株主資本比率)の水準も日米で違います。日本3社は3.74%〜5.15%、米国3社は8.2%〜8.9%です。★★★当サイトはこの差の理由を書きません。会計基準・規制・事業構成が違うためで、会社がその比較を示していないからです。

よくある質問

三菱UFJフィナンシャル・グループのアメリカ版はどこですか?

JPモルガン・チェースです。★★★自国で最大の銀行グループどうしで、部門の分け方も個人向け/法人・投資銀行/資産運用という3つの軸が重なります。★規模はJPモルガン・チェース(約28兆9,839億円)が三菱UFJフィナンシャル・グループ(14兆6,208億円)の1.98倍です。★★規模だけで見ればウェルズ・ファーゴ(約13兆2,966億円)が0.91倍で最も近く、時価総額でも0.97倍です(当サイトの計算)。★★★ただし海外の比重が違います。三菱UFJは経常収益の52.3%が海外、ウェルズ・ファーゴは地域別を開示せず従業員の約76%が米国です。★★三菱UFJは三菱UFJモルガン・スタンレー証券を通じてモルガン・スタンレーと資本関係があり、2026年3月期の持分法による投資損益8,455億45百万円の主因として会社はモルガン・スタンレーを挙げています。

銀行の「売上高」は何を指しているのですか?

★★★6社とも別のものを指しています。日本3社は経常収益で、貸出金や有価証券の利息、手数料などの合計です。支払利息を引く前の数字なので、金利が上がると受取と支払の両方が増えます。★米国3社は支払利息を差し引いた後の総収益です。★★★さらに部門別の表に入っている数字は、6社とも連結の売上高ではありません。日本3社は粗利益(連結の経常収益の38.7%〜44.9%)、米国3社は総収益です(割合は当サイトの計算)。★★日本3社は有価証券報告書の注記で「一般企業の売上高に代えて」と断っています。★★★当サイトは表の見出しを全社共通の「売上高」にそろえ、会社の言い方を注記に書いています。

なぜ部門の利益率を日米で比べられないのですか?

★★★利益の段階が違うためです。日本3社は営業純益・連結業務純益・業務純益で、いずれも与信関係費用も法人税も引く前です。★米国3社は当期純利益で、法人税まで部門に配分しています。★★三菱UFJの差異調整の表を見ると、報告セグメント計2兆3,653億83百万円に与信関係費用△4,747億48百万円・株式等関係損益4,860億48百万円・持分法投資損益8,455億45百万円などを加減して連結の経常利益3兆4,101億92百万円になります。部門の利益と連結の利益のあいだに、これだけの項目が入ります。★★★当サイトは数字を統一しません。列の名前を全社共通の「部門の利益」にして、基準が違うことを各社の注記に書いています。★「部門の利益」が何を指すかは、用語集の一覧でも見られます。

なぜ米国3社に「今期の見通し」の節がないのですか?

★★★3社ともGAAPの金額を1つも公表していないためです。2026年7月14日の決算発表資料にも、2025年12月期のForm 10-Kにも、通期の売上高・利益の予想の表がありません。★★★中長期の数値目標も3社とも公表していません。そのため「中長期の目標」の節もありません。★★日本3社は当期純利益の目標値または予想を1項目だけ示します。三菱UFJは2兆7,000億円、三井住友は1兆7,000億円、みずほは1兆4,000億円です。★★★三菱UFJだけが「業績予想」ではなく「目標値」という言い方をしており、決算短信に「これらの業務には、経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性が存在するため、業績予想に代えて」と明記しています。★ウェルズ・ファーゴが数値で示している先行きは配当だけで、2026年7〜9月期の1株当たり配当を0.45ドルから0.50ドルへ引き上げる見込みとしています。★★★当サイトが通期の数値を作ることはしません。

日本の銀行の自己資本比率が4%前後なのは危ないのですか?

★★★当サイトは安全性の判断を書きません。銀行は預金という負債で資金を集めて貸し出す業態のため、総資産が大きくなります。一般の会社の自己資本比率と同じ物差しでは読めません。★日本3社は3.74%(みずほ)〜5.15%(三菱UFJ)、米国3社は8.2%(JPモルガン・チェース)〜8.9%(バンク・オブ・アメリカ)です(いずれも会社の数値から当サイトが計算)。★★★この差の理由も書きません。会計基準・規制・事業構成が違うためで、会社がその比較を示していないからです。★★なお各社が資本の厚さの目安として使うのは普通株式等Tier1比率(CET1比率)で、2026年3月期末・6月末の数値は三菱UFJ9.2%・三井住友10.3%・JPモルガン・チェース14.1%・バンク・オブ・アメリカ11.2%・ウェルズ・ファーゴ10.3%です。★みずほの決算短信は「本『自己資本比率』は、自己資本比率告示に定める自己資本比率ではありません」と明記しています。

日本の3社の経常収益が5期で2倍以上になったのはなぜですか?

★★★当サイトは理由を書きません。3社とも増加要因を数値で分解していないためです。★三菱UFJは6兆758億87百万円から14兆6,208億43百万円へ140.6%増、三井住友は4兆1,111億27百万円から10兆7,908億53百万円へ162.5%増、みずほは3兆9,630億91百万円から9兆854億38百万円へ129.2%増です(当サイトの計算)。★★★経常収益は支払利息を引く前の数字なので、金利が上がると受取と支払の両方が増えます。三菱UFJの2023年3月期は経常収益が52.8%増えた一方で、経常利益は33.6%減っています。★★同じ5期に米国3社の総収益はJPモルガン・チェース50.0%増・バンク・オブ・アメリカ26.9%増・ウェルズ・ファーゴ5.7%増です。「売上高」の範囲が日米で違うため単純には比べられません。

ウェルズ・ファーゴだけ地域別が無いのはなぜですか?

★★★会社が開示していないためです。Form 10-Kにも、セグメント情報の注記(Note 19)にも、地域別の収益の表がありません。★★10-Kが示す地域の手がかりは従業員の比率だけで、「2025年12月31日時点で約205,000人の在籍者があり、約76%が米国を拠点としている」と記載されています。★★JPモルガン・チェース(北米76.6%)とバンク・オブ・アメリカ(米国86.4%)は開示しており、日米6社で開示していないのはウェルズ・ファーゴだけです。★★★開示されていないことを推測で補うことはしません。そのため同社のページには地域別の節がありません。

三井住友の1株当たり利益が途中で半分以下になっているのはなぜですか?

★★★株式分割によるものです。会社は2024年9月30日を基準日、10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。★★有価証券報告書は「2023年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して」1株当たりの数値を算定していると注記しており、2021年度・2022年度は分割前の基準のままです。5期の1株当たりの数値は途中で基準が変わっています。1株当たり配当金が240円から90円へ下がって見えるのも同じ理由で、減配ではありません。★★さらに2026年9月30日を基準日として1株につき2株の分割を行うことが決議されています。★★★当サイトは会社が有価証券報告書に載せた値をそのまま写し、注記で断っています。

6社の決算期はそろっていますか?

日本3社は3月末、米国3社は12月末です。★★ただし直近の四半期はどれも2026年4〜6月期なので、同じ3か月で比べられます。★日本3社は2027年3月期の第1四半期、米国3社は2026年12月期の第2四半期という呼び方の違いがあります。★★通期の数値は、日本3社が2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)、米国3社が2025年12月期(2025年1月〜12月)で、3か月ずれています。

数値はいつ時点のものですか?

日本3社の5期の推移・部門別・地域別・経営計画は2026年3月期の有価証券報告書(2026年6月19日〜24日提出)、直近の決算と通期の予想・目標は2026年7月30日〜8月6日公表の第1四半期決算短信によります。米国3社の5期の推移は米国SECに提出されたXBRLデータ、部門別は2025年12月期のForm 10-K(2026年2月13日〜25日提出)、直近の四半期は2026年7月14日公表の決算発表資料によります。株価と時価総額はページ上部に記載した基準日の値、円換算のレートはページ下部に記載した記事作成時のものです。

数値の基準日

売上高(米国企業)
各社の直近の通年決算(FY2025)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
売上高(日本企業)
各社の直近の通年決算(2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
株価・時価総額
2026-08-22 時点
為替
1米ドル = 158.86円(2026-08-22 時点)

投資判断は自己責任で行ってください。

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数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。