コマツ(6301)はどんな会社か
コマツは建設機械の会社として知られています。実際、売上の9割以上が建設機械・車両の部門から出ています。
ただし決算資料を開くと、それだけでは説明のつかない数字が並びます。建設機械の売上のうち半分は鉱山機械で、地域別では日本が1割に届きません。販売金融の部門は利益率が29%あり、産業機械の部門では半導体の露光装置に使うレーザーを作っています。
このページでは、同社が公表している決算資料と中期経営計画をもとに、事業の中身と会社が掲げている目標を整理します。
基本情報
- 正式社名
- 株式会社小松製作所
- 英文社名
- Komatsu Ltd.
- 証券コード
- 6301(東京証券取引所)
- 決算期
- 3月期
- 会計基準
- 米国基準
- 株価
- 7,302 円
- 時価総額
- 6.8兆円
- 発行済株式数
- 930,340,620 株
- ROE(自己資本利益率)
- 11.3%2025年度(2026年3月期)
- 1株あたり配当金
- 190 円(連結配当性向 45.9%)2025年度(2026年3月期)
事業の中身
3つの部門
有価証券報告書によれば、コマツグループは「建設機械・車両」「リテールファイナンス」「産業機械他」の3部門で事業を行っています。会社は連結子会社211社と持分法適用会社39社で構成されます。
- 建設機械・車両 — 油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダー、ダンプトラック、地下鉱山機械、林業機械など。会社総数177社と、3部門でもっとも大きい
- リテールファイナンス — 建設・鉱山機械のリースと割賦。会社総数18社
- 産業機械他 — 鍛圧機械(サーボプレス、機械プレス)、板金機械、工作機械、防衛関連(弾薬、装甲車)、温度制御機器、光学機械。会社総数19社
会社は連結財務諸表を米国会計基準で作成しています。有価証券報告書の冒頭に明記されており、日本の会社としては珍しい形です。米国企業と数字を並べるときに、この点は効いてきます。
建設機械の半分は鉱山向け
建設機械・車両部門の売上高(外部顧客向け)は、会社の資料では2つに分かれています。2025年度は鉱山機械が19,044億円、一般建機が18,917億円で、ほぼ半分ずつです。
一般に「建機の会社」と聞いて思い浮かぶ工事現場の機械は、このうち半分にあたります。残りの半分は、銅や金、石炭の鉱山で使う大型のダンプトラックやショベルです。
鉱山向けの事業が大きくなったのは2017年です。同社は米国のジョイ・グローバル社(現、コマツマイニング)の株式をすべて取得しました。地下鉱山機械のコンティニュアスマイナーやシアラーは、この系譜の製品です。
日本は売上の1割に届かない
建設機械・車両部門の地域別売上高(外部顧客向け)を見ると、2025年度でもっとも大きいのは北米の10,472億円、次いで中南米の7,769億円です。日本は3,145億円で、部門全体の8%にあたります。
中南米とオセアニアが大きいのは、鉱山機械の売り先がそこにあるためです。鉱山機械だけを取り出すと、中南米が6,172億円で最大となり、オセアニアの3,673億円、北米の4,206億円が続きます。
一方、一般建機では北米が6,266億円で最大、日本が3,127億円でこれに次ぎます。同じ会社の中に、売り先の地図が2枚あるという構造です。
機械を売る会社が、金融も持っている
リテールファイナンス部門は、建設・鉱山機械のリースと割賦を扱います。2025年度の売上高は1,261億円で全社の3%ですが、セグメント利益は366億円、利益率は29.0%です。建設機械・車両の12.9%と比べると、利益の出方がまったく違います。
高額な機械を、買い手が資金を用意できる形にして売る。この仕組みを自社で持つかどうかは、建設機械の業界で会社の形を分ける点になります。米国のキャタピラーとディアも同じ構造を持っており、日本の日立建機とタダノは持っていません。
産業機械の部門に半導体がある
産業機械他の部門には、自動車産業向けの大型プレスと並んで、半導体露光装置用のエキシマレーザーがあります。子会社のギガフォトンが手がけるもので、有価証券報告書では「光学機械」として区分されています。
2026年度第1四半期の決算では、自動車産業向けは大型プレスの販売が増え、半導体産業向けはエキシマレーザーのメンテナンス売上が増えたと会社が説明しています。建設機械の会社の決算資料に半導体の話が出てくるのは、この部門があるためです。
部門ごとの売上と利益
2025年度(2026年3月期)決算説明会資料より
| 部門 | 売上高 | うち外部顧客向け | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設機械・車両 | 38,060億円 | 37,961億円 | 4,911億円 | 12.9% |
| 産業機械他 | 2,388億円 | 2,361億円 | 379億円 | 15.9% |
| リテールファイナンス | 1,261億円 | 1,005億円 | 366億円 | 29.0% |
| 消去または全社 | ▲382億円 | — | 55億円 | — |
| 合計 | 41,328億円 | — | 5,712億円 | 13.8% |
各部門の売上高は、部門間の取引を消去する前の金額。3部門を足すと41,709億円で、そこから消去の382億円を引くと41,327億円になる。会社が示す合計は41,328億円で、1億円の差は資料が億円単位に丸めてあることによる(当サイトの計算違いではない)。営業利益(5,673億円)はセグメント利益の合計からその他の営業費用38億円を差し引いた金額。
売上の内訳
部門別
- 建設機械・車両3.8兆円91.9%
- 産業機械他2,361億円5.7%
- リテールファイナンス1,005億円2.4%
地域別(建設機械・車両)
- 北米1.0兆円27.6%
- 中南米7,769億円20.5%
- オセアニア4,716億円12.4%
- 欧州3,600億円9.5%
- アジア3,349億円8.8%
- その他 5件8,055億円21.2%
2025年度(2026年3月期)の外部顧客向け売上高の内訳です。会社が決算説明会資料で開示した区分をそのまま用いており、当サイトで分類し直したものではありません。建設機械・車両部門の外部顧客向け売上高の内訳。合計は同部門の37,961億円と一致する。会社は2026年度から、中近東に含めていた一部の地域を欧州へ移し、2025年度も同じ区分に組み替えて示している。
最新の決算
2026年度 第1四半期(2026年4〜6月)2026-07-29 公表
| 項目 | 2026年度 第1四半期(2026年4〜6月) | 2025年4〜6月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.0兆円 | 9,095億円 | +14.7% |
| 営業利益 | 1,516億円 | 1,404億円 | +8.0% |
| 純利益 | 962億円 | 912億円 | +5.5% |
| 売上高営業利益率 | 14.5% | 15.4% | — |
会社が公表した決算説明会資料の数値です。当サイトが原文を翻訳・加工したものではありません。増減は前年の同じ四半期との比較です。純利益は当社株主に帰属する四半期純利益。為替は1米ドル158.5円(前年同期は145.5円)。
会社が公表している今期の見通し
2026年度(2027年3月期)2026-07-29 公表
| 項目 | 会社の見通し | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4.3兆円 | +4.1% |
| 営業利益 | 5,550億円 | -2.2% |
| 純利益 | 3,490億円 | -7.3% |
| 売上高営業利益率 | 12.9% | — |
| ROE(自己資本利益率) | 10.1% | — |
| 1株あたり配当金 | 190円 | — |
| 連結配当性向 | 48.6% | — |
- 米国の関税による費用は、2025年度の625億円から2026年度は883億円になると織り込んでいる(差は258億円)
- 中東情勢の影響として、売上高で463億円の減少と、燃料・海上輸送費などの費用で232億円の増加を織り込んでいる
これは会社が公表した数値であり、当サイトの予測ではありません。会社が2026年7月29日に公表した数値。同年4月28日の公表分から、売上高を1,840億円、営業利益を470億円、純利益を310億円それぞれ上へ修正している。会社は、実際の業績がこの数値と大きく異なることがありうる旨を資料に記載しています。
売上高と利益の推移
| 決算期 | 売上高 | 前期比 | 税引前利益 | 純利益 | 純利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月期2026-03-31期末 | 4.1兆円 | +0.7% | 5,373億円 | 3,764億円 | 9.1% |
| 2025年3月期2025-03-31期末 | 4.1兆円 | +6.2% | 6,048億円 | 4,396億円 | 10.7% |
| 2024年3月期2024-03-31期末 | 3.9兆円 | +9.1% | 5,757億円 | 3,934億円 | 10.2% |
| 2023年3月期2023-03-31期末 | 3.5兆円 | +26.4% | 4,764億円 | 3,264億円 | 9.2% |
| 2022年3月期2022-03-31期末 | 2.8兆円 | — | 3,246億円 | 2,249億円 | 8.0% |
直近5期の通年決算です。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書で、利益は同報告書の「主要な経営指標等の推移」によります。日本企業は円で決算を出すため、円換算はしていません。図の売上高と利益は同じ物差しで並べているので、棒の高さの差がそのまま利益の大きさにあたります。純利益は「当社株主に帰属する当期純利益」。同社は米国会計基準で連結財務諸表を作成しているため、この表には営業利益がなく、経常利益に替えて税引前当期純利益が載っています。
中期経営計画
Driving value with ambition 価値創造への挑戦2025年度〜2027年度の3年間
会社が掲げる「ありたい姿」は「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」です。2030年度までの6年間を見据えた経営戦略として策定しています。
前の中期経営計画は「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」でした。
成長戦略の3本柱
1. イノベーションによる価値共創将来への投資
- 戦略的投資、新技術やビジネス領域の開拓、ソリューションを通じた新たな価値の共創
- カーボンニュートラルや顧客現場の最適化に向けたAI等の活用による革新的なモノ・コトづくり
2. 成長性と収益性の追求収益体質
- 現場オペレーション高度化の実現による成長と収益性の向上
- バリューチェーンビジネスの拡大とAI活用・DXによる省人化・効率化
- 事業・地域・国ごとのマーケティング戦略の最適化による成長
3. 経営基盤の革新レジリエンス
- 事業成長を支える人材の獲得・活躍の推進
- ブランディング活動拡充によるブランド強化
- AI活用・DXによるビジネス基盤(システム、プロセス)の効率化への大胆かつアジャイルな取り組み
経営目標(財務)
| 指標 | 会社が掲げた目標 |
|---|---|
| 売上高成長率 | 業界水準を超える成長率 |
| 営業利益率 | 業界トップレベルの利益率 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 3年累計で1兆円(M&A関連の支出を除く) |
| ROE(自己資本利益率) | 10%以上 |
| リテールファイナンス事業のROA | 1.5%〜2.0% |
| リテールファイナンス事業のネットD/Eレシオ | 6倍以下 |
| 連結配当性向 | 40%以上 |
経営目標(非財務)
| 指標 | 会社が掲げた目標 |
|---|---|
| 社会課題解決KPI | 30項目の達成度を総合評価(外部評価を含む) |
| CO2排出削減(自社排出・総量) | 2030年に2010年比50%減 |
| CO2排出削減(製品使用による排出・原単位) | 2030年に2010年比50%減 |
| カーボンニュートラル | 2050年(チャレンジ目標) |
| 再生可能エネルギー使用率 | 2030年に50% |
これは会社が公表した計画であり、当サイトの予測でも評価でもありません。目標の言い回しは資料の表現をそのまま用いています。計画は見直されることがあります。
アメリカの対応企業
コマツと事業が重なる米国企業は、キャタピラーとディアの2社です。
キャタピラーとは、建設機械・鉱山機械・販売金融の3点で構造が重なります。キャタピラーの報告セグメントは Construction Industries(建設)、Resource Industries(資源・鉱山)、Power & Energy(エンジン・発電)、Financial Products(金融)の4つで、コマツの3部門と並べると建設・鉱山・金融が対応します。対応しないのはキャタピラーのエンジン事業と、コマツの産業機械他です。
ディアは農業機械が主力の会社です。4つの報告セグメントのうち2つが農業機械で、米国SECへの登録上の業種も農業機械となっています。ただし Construction & Forestry のセグメントで油圧ショベルやブルドーザー、林業機械を手がけており、コマツの建設機械・車両部門と重なります。コマツも林業機械(ハーベスター、フォワーダー、植林機)を持っており、この範囲では正面から並びます。
規模で見ると、2025年度のコマツの売上高4.1兆円に対し、キャタピラーは10.8兆円、ディアは7.3兆円です(いずれも基準日のレートによる円換算)。ただし3社とも決算期と会計基準の組み合わせが異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません。
| 米国の企業 | ティッカー | 重なるところ |
|---|---|---|
| キャタピラーCaterpillar Inc. | CAT | 建設機械・鉱山機械・販売金融の3点で構造が重なる |
| ディアDeere & Company | DE | 建設・林業機械で重なるが、ディアは農業機械が主力 |
日米双方のセグメント開示を突き合わせ、事業の重なりを確認できたものだけを載せています。
よくある質問
コマツのアメリカ版はどこですか?
建設機械を主力とする点で最も近いのはキャタピラーです。両社とも油圧ショベルやブルドーザー、鉱山向けの大型機械を手がけ、機械の購入資金を融資する金融部門を持っています。
なぜ日本の会社なのに米国会計基準なのですか?
有価証券報告書の冒頭に、内閣府令の規定により米国会計基準に準拠して連結財務諸表を作成していると記載されています。理由そのものは開示資料に書かれていないため、当サイトからは説明できません。数字を読むうえでは、米国企業と同じ基準で作られているという点が重要です。
「セグメント利益」は営業利益と違うのですか?
会社の決算資料では別の項目として並んでいます。2025年度のセグメント利益は5,712億円、営業利益は5,673億円で、差はその他の営業収益・費用(▲38億円)によるものです。このページの部門別の表はセグメント利益、四半期と通期の表は営業利益を載せています。
中期経営計画の目標は達成される予定ですか?
当サイトでは、会社が公表した計画の内容をそのまま載せるだけで、達成できるかどうかの判断はしません。会社自身も資料に、実際の業績が計画と大きく異なることがありうる旨を記載しています。
数値はいつ時点のものですか?
部門別・地域別の売上高、四半期決算、今期の見通し、中期経営計画は、同社がIRサイトで公開している資料から当サイトが書き写したものです。書き写した日はページ下部に記載しています。売上高の5期の推移は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書、株価と時価総額はページ下部に記載の基準日時点のものです。
数値の基準日と出典
- 決算(通年)
- 2026年3月期(2026-03-31 期末)
- 決算(四半期)
- 2026年度 第1四半期(2026年4〜6月)/2026-07-29 公表
- IR資料の確認日
- 2026-08-16
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
部門別・地域別の売上高、四半期決算、今期の見通し、中期経営計画は、同社のIRサイトで公開されている資料から当サイトが書き写しました(2026年度 第1四半期(4-6月) 決算説明会(2026-07-29 公表)/中期経営計画(2025年度〜2027年度)(2026-08-16 に当サイトが確認)/有価証券報告書(2026年3月期)(2026-06-18 公表))。売上高の5期の推移と発行済株式数は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書、株価と時価総額は Yahoo Finance によります。
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。