半導体Semiconductors
日本の顔ぶれ
- ルネサスエレクトロニクス有価証券報告書に「半導体専業メーカー」と記載する。報告セグメントは産業・インフラ・IoT(50.8%)と自動車(48.4%)の2つ。連結子会社108社のうち102社が海外。アメリカではテキサス・インスツルメンツアナログ・デバイセズインテルAMDクアルコムエヌビディアマイクロン・テクノロジーブロードコム
- キオクシアホールディングス報告セグメントは「メモリ事業」単一。売上収益を用途別に「SSD & ストレージ」「スマートデバイス」「その他」に区分すると記載する。有価証券報告書で自社を世界最大級のフラッシュメモリ専業と述べている。アメリカではマイクロン・テクノロジーエヌビディアインテルAMDブロードコムクアルコムテキサス・インスツルメンツアナログ・デバイセズ
アメリカの対応企業
エヌビディアNVDA
NVIDIA CORP
10-Kで自社を「データセンター規模のAIインフラの会社」と説明する。コンピュート&ネットワーキング89.6%、グラフィックス10.4%。地域別は米国69.3%、台湾19.6%。売上高215.9十億ドルで10社中最大。
- 売上高34.3兆円
- 純利益19.1兆円
- 時価総額851.9兆円
- 株価225.07USD
- 掲載企業内シェア45.2%
- 決算期FY2026 · 米国基準
- キオクシアホールディングス
- ルネサスエレクトロニクス
ブロードコムAVGO
Broadcom Inc.
半導体57.7%とインフラソフトウェア42.3%の2部門。部門営業利益では212億32百万ドル対207億65百万ドルで差が4億67百万ドルしかない。地域別は出荷先基準で米国25.8%、中国17.5%。上位5社の最終顧客で約40%を占める。
- 売上高10.1兆円
- 純利益3.7兆円
- 時価総額264.5兆円
- 株価352.81USD
- 掲載企業内シェア13.4%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
インテルINTC
INTEL CORP
地域別は米国29.8%、中国(香港含む)24.0%、シンガポール18.0%、台湾14.5%。当サイトが自動取得しているXBRLに事業別の次元は無いが、10-Kのセグメント注記には部門別の売上と利益がある(個票に載せている)。
- 売上高8.4兆円
- 純利益▲424億円
- 時価総額97.4兆円
- 株価123.00USD
- 掲載企業内シェア11.1%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
クアルコムQCOM
QUALCOMM Incorporated
QCT(半導体)86.6%、QTL(ライセンス)12.6%、QSI(戦略投資)の3部門。部門の利益指標は営業利益ではなくEBT(税引前利益)。QCTの用途別は携帯端末72.4%、IoT 17.2%、自動車10.3%。地域別は中国46%、米国24%、韓国21%。
- 売上高7.0兆円
- 純利益8,795億円
- 時価総額33.3兆円
- 株価201.97USD
- 掲載企業内シェア9.3%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
マイクロン・テクノロジーMU
MICRON TECHNOLOGY INC
メモリとストレージの会社。用途別に4つの事業単位を持ち、クラウド向け36.2%、モバイル・クライアント向け31.7%、データセンター向け19.3%、車載・産業向け12.7%。日本を国別に開示している(2.4%)。
- 売上高5.9兆円
- 純利益1.4兆円
- 時価総額192.0兆円
- 株価1,082.28USD
- 掲載企業内シェア7.8%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- キオクシアホールディングス
- ルネサスエレクトロニクス
AMDAMD
ADVANCED MICRO DEVICES INC
データセンター48.0%、クライアント&ゲーミング42.0%、エンベデッド10.0%の3セグメント。地域別は米国32.8%、中国22.4%、台湾15.0%。
- 売上高5.5兆円
- 純利益6,881億円
- 時価総額161.7兆円
- 株価630.63USD
- 掲載企業内シェア7.3%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
テキサス・インスツルメンツTXN
Texas Instruments Incorporated
アナログ79.2%と組込みプロセッシング15.3%の2部門に「その他」5.5%。部門の売上・営業利益とも調整の行を挟まずに連結と完全一致する。最終市場は産業33%・自動車33%。日本を独立区分で開示している(6.6%)。
- 売上高2.8兆円
- 純利益7,938億円
- 時価総額39.9兆円
- 株価278.07USD
- 掲載企業内シェア3.7%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
アナログ・デバイセズADI
Analog Devices, Inc.
報告セグメントは1つで、部門ごとの利益は開示していない。最終市場別の売上は産業45%、車載30%、民生13%、通信13%。地域別は代理店・OEMの所在地基準で米国29.4%、中国25.9%、日本9.0%。
- 売上高1.7兆円
- 純利益3,599億円
- 時価総額30.0兆円
- 株価393.60USD
- 掲載企業内シェア2.3%
- 決算期FY2025 · 米国基準
- ルネサスエレクトロニクス
- キオクシアホールディングス
カードの下にある「対応する日本企業」は、その米国企業と事業が重なる会社です。
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。
日米の構造の違い
記憶する部品と、計算する部品
半導体は用途で大きく分かれます。開示資料からも、その違いが読み取れます。
- メモリ(記憶する) — キオクシアホールディングス(報告セグメントは「メモリ事業」単一)、マイクロン(4区分すべてがメモリ・ストレージの用途別)
- ロジック(計算する) — ルネサスエレクトロニクス、インテル、AMD、エヌビディア、ブロードコム、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ、アナログ・デバイセズ
キオクシアとマイクロンは、この分類の同じ側にいます。双方ともメモリを本業とする組み合わせは、このページでここだけです。
ただし、この2つは無関係ではありません。 クアルコムは2026年9月期の第3四半期に携帯端末向けの売上が20%減った理由を、「メモリの供給の逼迫とそれに伴う値上げの悪影響により、顧客が在庫の水準を引き下げるために生産計画を調整している」と四半期報告書に記載しました。メモリを作っていない会社の売上が、メモリの需給で動いています。
同じロジックでも、用途が違う
計算する側の8社も、向き先が違います。
- ルネサスエレクトロニクス — 産業・インフラ・IoT(50.8%)と自動車(48.4%)。車や工場の機器に組み込まれる部品
- テキサス・インスツルメンツ・アナログ・デバイセズ — 最終市場は産業と自動車が中心(TIは33%と33%、ADIは45%と30%)。ルネサスと向き先が最も近い2社
- インテル・AMD — AMDの区分はデータセンター(48.0%)とクライアント&ゲーミング(42.0%)。パソコンやサーバーが中心
- クアルコム — 携帯端末向けが売上の62.8%。自動車とIoTは合わせて23.9%
- エヌビディア — 10-Kで自社を「データセンター規模のAIインフラの会社」と説明し、コンピュート&ネットワーキングが89.6%
- ブロードコム — 半導体は5つの最終市場に分かれるが金額は開示されない。売上の42.3%はソフトウェア
ルネサスと重なりが大きいのはテキサス・インスツルメンツとアナログ・デバイセズで、エヌビディアとの重なりが狭くなるのは、この向き先の違いによるものです。
部門の利益が、同じ「部門の利益」ではない
10社の開示を並べると、部門ごとの利益として出てくる数字の種類が3つに分かれます。
- 営業利益 — ブロードコム、テキサス・インスツルメンツ、AMD、インテル、ルネサスエレクトロニクス
- 税引前利益(EBT) — クアルコム。会社は「最高経営意思決定者は売上高とEBTを用いてセグメントの業績を評価している」と10-Kに明記しています
- 開示なし — アナログ・デバイセズ(報告セグメントが1つで、最高経営意思決定者が使う指標は連結の純利益)、キオクシアホールディングス(報告セグメントが「メモリ事業」単一)
さらに、部門の利益を足したときに連結と合うかどうかも会社によって違います。
- 完全に一致する — テキサス・インスツルメンツ。会社は「重要なセグメント間の売上はない」と記載し、調整の行を1つも置いていません
- 差がある — ブロードコム(165億13百万ドル)、クアルコム(32億30百万ドル)、ルネサスエレクトロニクス(1,857億円)。取得した無形資産の償却や株式報酬費用など、部門に配分しない費用があるためです
自社で作るか、外に頼むか
製造の持ち方も、会社によって大きく違います。開示資料に書かれている範囲では次のとおりです。
- 大半を自社で — テキサス・インスツルメンツ。「製造の大半を自社で行っている」ことを明文の戦略に掲げ、300mmウエハーで作った未封止のチップが200mmより約40%安いと10-Kに記載しています
- 半分ほどを自社で — アナログ・デバイセズ。「年間のウエハー必要量の半分超を外部のファウンドリから調達している」と記載しています
- 原則として外部へ — クアルコム(RFフロントエンドを除く)、ブロードコム(FBARフィルタとレーザーを除く)、エヌビディア、AMD
この違いは設備の量に表れます。ブロードコムの有形固定資産は25億30百万ドルで、総資産の1.5%にとどまります。
売上高の差が極端に大きい
この業界は、同じページに並べた会社の規模差がこれまででもっとも大きくなっています。
- エヌビディア — 215.9十億ドル
- ブロードコム — 63.9十億ドル
- インテル — 52.9十億ドル
- クアルコム — 44.3十億ドル
- マイクロン — 37.4十億ドル
- AMD — 34.6十億ドル
- テキサス・インスツルメンツ — 17.7十億ドル
- アナログ・デバイセズ — 11.0十億ドル
エヌビディアはアナログ・デバイセズの19倍を超えます。日本側のルネサスエレクトロニクス(1.32兆円)、キオクシアホールディングス(2.34兆円)と合わせると、差はさらに開きます。表では円換算して同じ物差しで並べています。
米国の会社でも、米国の比率はさまざま
地域別の内訳を見ると、会社ごとにかなり違います。
- エヌビディア — 米国69.3%、台湾19.6%、中国(香港含む)9.1%
- マイクロン — 米国64.5%、台湾15.2%、中国7.1%、日本2.4%
- テキサス・インスツルメンツ — 米国38%、中国21%、欧州中東アフリカ21%、日本6.6%
- AMD — 米国32.8%、中国22.4%、台湾15.0%
- インテル — 米国29.8%、中国(香港含む)24.0%、シンガポール18.0%、台湾14.5%
- アナログ・デバイセズ — 米国29.4%、中国25.9%、欧州20.7%、日本9.0%
- ブロードコム — 米国25.8%、中国(香港含む)17.5%、シンガポール16.9%、台湾10.1%
- クアルコム — 中国(香港含む)46%、米国24%、韓国21%
ただし、この数字を並べて比べることはできません。 何を基準に地域を分けているかが、会社ごとに違うためです。
- 顧客の本社所在地 — エヌビディア、マイクロン、クアルコム
- 最終顧客の本社所在地(会社は「推計」と明記) — テキサス・インスツルメンツ
- 製品を購入した代理店・OEMの所在地 — アナログ・デバイセズ
- 出荷先・引渡先の所在地 — ブロードコム
- 顧客への請求先 — インテル、AMD
- 自社の事業拠点の所在地 — キオクシアホールディングス
会社自身が但し書きを付けている例もあります。 ブロードコムは「中国(香港を含む)へ出荷・引渡した製品の相当部分は、最終顧客が米国および欧州で販売する機器に含まれていると考えている」と10-Kに記載しています。テキサス・インスツルメンツは同じ10-Kの中に、本社所在地基準で中国が約20%、出荷先基準では約50%という2つの数字を載せています。
台湾はどの会社にも現れます。 半導体の製造と組み立てが集まる場所であることが、売上の分布にも出ています。
キオクシアの「世界最大級」という記載について
キオクシアホールディングスは有価証券報告書で、自社を「世界最大級のフラッシュメモリ専業プレイヤー」と述べています。同社はこの記載の出典として調査会社のレポート(2025年4月〜2026年3月のビット生産量ベース)を注記しています。
当サイトはこれを同社の記載として紹介するにとどめ、シェアの数値としては扱いません。 調査会社の推計は一次資料ではないためです。
よくある質問
キオクシアホールディングスのアメリカ版はどこですか?
マイクロンです。キオクシアの報告セグメントは「メモリ事業」単一、マイクロンの4区分はすべてメモリ・ストレージの用途別で、双方ともメモリが本業です。このページで本業どうしが正面から重なるのは、この組み合わせだけです。
ルネサスエレクトロニクスに最も近い米国の会社はどれですか?
テキサス・インスツルメンツとアナログ・デバイセズです。 どちらも最終市場の中心が産業機器と自動車で、ルネサスの2つの報告セグメント(産業・インフラ・IoT 50.8%、自動車 48.4%)と向き先が重なります。テキサス・インスツルメンツは産業33%・自動車33%で合わせて66%、アナログ・デバイセズは産業45%・車載30%で合わせて75%です。★テキサス・インスツルメンツは決算期もルネサスと同じ12月31日です。★ただしアナログ・デバイセズとはマイコンで重なりません。 同社の10-Kには「microcontroller」「MCU」という語が1度も出てきません。
部門ごとの利益が載っていない会社があるのはなぜですか?
会社がそう開示しているためです。アナログ・デバイセズは報告セグメントが1つしかなく、10-Kに「1つの事業セグメントおよび1つの報告セグメントとして業績を運営・把握している」と明記しています。最高経営意思決定者が使う指標は連結の純利益で、区分ごとの利益はどこにも公表されていません。キオクシアホールディングスも報告セグメントが「メモリ事業」単一で、同じく部門の利益がありません。当サイトは比率から利益を割り戻すようなことはしません。
クアルコムの部門の利益だけ「税引前利益」と書いてあるのはなぜですか?
会社が10-Kでそう開示しているためです。「当社の最高経営意思決定者(CEO)は、セグメントの業績評価と資源配分に売上高とEBT(税引前利益)を用いている」と明記されています。そのため同社のページでは、基本情報の連結の営業利益123億55百万ドルと、部門の表の合計126億63百万ドルが別の数字になります。他の会社の部門の利益は営業利益です。
ブロードコムは半導体の会社ではないのですか?
半導体の会社ですが、それだけではありません。2025年11月期の売上高638億87百万ドルのうち、インフラソフトウェアが270億29百万ドル(42.3%)を占めます。★部門の営業利益で見ると、半導体212億32百万ドルとソフトウェア207億65百万ドルの差は4億67百万ドルしかありません。 2023年11月のVMware買収(総取得対価862億90百万ドル)によるもので、ソフトウェア部門の売上は2023年10月期の76億37百万ドルから3.5倍になりました。このページの他の9社は、ソフトウェアの報告セグメントを持ちません。
ルネサスエレクトロニクスとエヌビディアはどちらも半導体ですが、重なりは狭いのですか?
どちらも計算する側の半導体ですが、向き先が違います。ルネサスは産業・インフラ・IoT(50.8%)と自動車(48.4%)で、車や工場の機器に組み込まれる部品が中心です。エヌビディアは10-Kで自社を「データセンター規模のAIインフラの会社」と説明しています。
インテルの事業別の内訳が載っていないのはなぜですか?
★★この業界ページには載せていませんが、インテルの個票には載せています。CCG(クライアント・コンピューティング)45.7%、インテル・ファウンドリー25.3%、DCAI(データセンター&AI)24.0%です。
★当サイトが自動取得しているXBRLには事業別の次元がなかったため、この業界ページは地域別の内訳のみです。個票を作る際に10-Kを直接読んで取得しました。開示されていない、あるいは取得できていないものを推測で補うことはしません。
ソニーグループがこのページにないのはなぜですか?
ソニーグループはイメージセンサーの事業(I&SS)を持ちますが、当サイトではエンタメ・ゲームのページに載せています。1つの会社を1つの業界に置く方針のためです。ソニーグループの事業構成は、エンタメ・ゲームのページで確認できます。
数値はいつ時点のものですか?
決算数値は各社の直近の年次報告書(米国は10-K、日本は有価証券報告書)によります。決算期は会社ごとに異なり、エヌビディアは1月末、マイクロンは8月末、クアルコムは9月末、ブロードコムとアナログ・デバイセズは11月初旬、インテル・AMD・テキサス・インスツルメンツ・ルネサスは12月末、キオクシアは3月末です。株価と時価総額はページ下部の更新日時点の値です。
注記(2件)
- アメリカの対応企業
- 日米それぞれの開示資料(年次報告書・有価証券報告書)でセグメントを突き合わせ、重なりを確認できたものだけを載せています。どこがどう重なるかは下の「日米の構造の違い」で説明しています。
- 規模の比較
- 米ドルはページ下部のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上のカードの「掲載企業内シェア」は、掲載した米国企業8社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
出典
売上高・純利益は各社の直近の通年決算(米国企業 FY2025・FY2026/日本企業 2025年12月期・2026年3月期)によります。出典は米国SEC(証券取引委員会)の年次報告書(10-K)、金融庁EDINETの有価証券報告書、株価はYahoo Finance。金額の円換算は1米ドル = 158.73円、株価と時価総額は1米ドル = 157.06円。
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は更新時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。
更新日